前編では、相続後に新たな財産が見つかることは実務上珍しくなく、後から財産が判明したからといって、前の遺産分割協議が直ちに全部無効になるわけではないことを整理しました。
中編では、前の協議書の内容を確認し、追加財産だけを別途協議する形が多いこと、ただし追加財産が大きい場合には前の協議との関係も問題になり得ることを見てきました。
では、こうした場面で相続人同士の不信感を広げず、無用な争いを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
後編では、追加財産が見つかった相続で実務上注意したい点を整理します。
後から財産が見つかると、相続人の間では
「誰かが最初から知っていたのではないか」
「わざと協議の後まで黙っていたのではないか」
という疑いが出やすくなります。
もっとも、相続では本当に把握漏れだったというケースも少なくありません。
昔の預金口座、利用していなかった証券口座、遠方の不動産などは、家族も気づいていないことがあります。
そのため、最初から不信感だけで話を進めるのではなく、まずは
「いつ、どういう経緯で見つかったのか」
を事実として確認する姿勢が大切です。
実務では、後から見つかった財産について、名義、残高、評価額、取得経緯などを客観的資料で確認することが重要です。
たとえば、預貯金であれば残高証明や取引履歴、不動産であれば登記事項証明書や固定資産評価証明書、株式であれば保有状況の資料など、まず事実を固める必要があります。
ここが曖昧なままだと、
「本当に遺産なのか」
「評価はいくらなのか」
という基本的な点から争いになりやすくなります。
追加財産について改めて協議する場合は、
「この財産だけを対象に話し合うのか」
「前の協議との関係をどう考えるのか」
を明確にしておくことが大切です。
話し合いの前提がそろっていないと、一方は追加分だけの協議だと思っているのに、もう一方は前の分け方も見直すつもりでいる、という食い違いが起きやすくなります。
そのため、協議の対象、前提、合意内容は、後から見ても分かるように文書で残すことが重要です。
・後から財産が見つかっても、まずは事実関係を確認することが大切
・追加財産の内容は客観的資料で整理する必要がある
・協議の対象や前提を明確にして文書化することが重要
・不信感から入らず、整理の順番を守ることが重要
相続後に財産が見つかると、単に遺産が増えるだけではなく、終わったはずの相続に不信感や不満が戻ってくることがあります。
だからこそ、疑いから入るのではなく、まずは事実を固め、追加財産をどう位置づけるのかを丁寧に整理することが、相続をこじらせないための大切な視点になります。
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・遺産分割協議書作成支援
・後から判明した財産を含む相続関係全体の整理
・必要に応じた司法書士、税理士等との連携
・遺産分割協議書作成支援
・後から判明した財産を含む相続関係全体の整理
・必要に応じた司法書士、税理士等との連携