前編で紹介したとおり、Gさん・Hさん・Iさんの3きょうだいは、
「実家がいくらなのか」をめぐって平行線の状態でした。
査定額はそれぞれバラバラ。
いずれも根拠はあるものの、
“どれが正しい評価か” という合意形成ができません。
そこで3人は、
「まずは冷静になれる資料をそろえるべきだ」
と考え、専門家に相談することを決めました。
専門家から提示されたのは大きく3つの評価方法でした。
最も客観的で公平性が高いとされる評価が 路線価 です。
国税庁が公表しているデータで、
相続税計算の際にも使用されるため、
「相続協議で採用されるケースが多い」という特徴があります。
路線価をもとに土地の価値を計算し、
古家は法定耐用年数を超えているため「評価ゼロ」に。
その結果、土地評価は 約1,250万円 となり、
長男の“1,000万円説”と次男の“2,000万円説”の中間値に近い数字が算出されました。
次に不動産会社に依頼したのは、
「実際に売ったらいくらになるか」という査定(実勢価格)。
今回は2社に依頼したところ、
と、幅はあるものの、路線価評価に比較的近い結果でした。
専門家によれば、
「築年数が古く、修繕費がかかる物件は、路線価より実勢額が下がりやすい」
とのこと。
3人も徐々に「2,000万円はやっぱり高すぎた」と理解し始めます。
さらに専門家が重要視していたのが、
空き家となった場合のリスク評価 です。
これらを考慮すると、
査定額から修繕費などを差し引いた“実質価値”は
900〜1,050万円程度 に落ち着くという分析でした。
ここでIさんが強く納得し、
「数字が違う理由がようやく理解できた」とコメント。
感情で動きかけた議論が、事実に基づく議論へと変わり始めます。
最終的に3人は次のように合意します。
「路線価評価」と「不動産会社2社の査定」を平均して評価額とする。
そこから修繕費相当分を控除して実質価値を算出する。
この方法は、
という3つの側面をバランスよく取り入れた方法でした。
お互いの主張に固執していた兄弟も、
「数字の根拠が見える化」されたことで納得に近づいていきます。
後編では、
実際にどのように遺産分割が決まったのか、
実家を売却するのか、誰かが引き継ぐのか、
そして兄弟が最終的に得た“教訓”について解説します。
・路線価・固定資産税評価などの「客観的資料」の提示
・不動産査定の比較表の作成
・空き家リスクや修繕費の見える化
・遺産分割協議書の作成
・司法書士・不動産会社との連携サポート
・兄弟間の意見整理と合意形成のサポート