相続のトラブルは、「財産が多い家庭」だけに起こるものではありません。むしろ、財産の金額よりも「感情のもつれ」や「誤解」「準備不足」が原因となるケースの方が多いのです。ここでは、実際によく見られるトラブルのパターンと、その防止策を整理してみましょう。
■よくあるトラブル事例
- 兄弟姉妹間の不公平感
「長男ばかり優遇された」「介護を担ったのに報われない」――こうした不満は、遺産分割協議をこじらせる典型的な要因です。金額の問題ではなく、「自分の思いを理解してもらえなかった」という感情が火種になります。
- 情報共有の不足
相続財産や借入の全体像が共有されていないと、「隠し財産があるのでは」という疑念を生みます。特に、預貯金・生命保険・不動産・借金の所在を家族が知らないまま相続を迎えるケースは少なくありません。
- 遺言書の不備や誤解
遺言書があっても、内容が曖昧だったり、形式が不備で無効になったりする例があります。自筆証書遺言で特に注意したいのは、日付・署名・押印・加筆訂正のルール。せっかくの意思が形にならないのは、非常にもったいないことです。
■トラブルを防ぐ3つのポイント
- 早めの準備と家族の対話
“話しにくいことほど早めに”。生前のうちに、財産や希望をオープンに話し合うことで誤解を減らせます。介護・葬儀・供養などの希望も共有しておくと、残された家族の心の負担が大きく軽減されます。
- 財産の「見える化」
預金通帳や不動産、保険契約などを一覧化しておくことは、相続人の安心につながります。エンディングノートやエクセル表など、形式は問いません。「どこに何があるか」を明確にすることが第一歩です。
- 専門家の関与
行政書士・税理士・司法書士などの専門家に相談することで、客観的な整理と法的リスクの回避が可能です。家族だけで感情的に進めるよりも、第三者の助言が入ることで冷静な話し合いができます。
■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること
当事務所では、「争族（争う家族）を防ぐ相続」をテーマに、
- 遺言書作成支援（自筆・公正証書）
- 財産・相続人一覧の整理サポート
- 遺産分割協議書の作成
- 相続人間の意向整理・公正証書打合せ同席
などを通じて、感情面・手続面の両方から円満な相続をお手伝いしています。
相続は「財産を分ける手続き」ではなく、「想いを受け継ぐ時間」。
今できる準備こそが、未来の家族への最大の贈り物です。
次回【相続コラム99】では、実務的な手順を整理した「相続チェックリスト」をご紹介します。