前編では、内縁の配偶者がいる相続が、
強い感情的対立を生みやすい理由を整理しました。
中編では、内縁の配偶者は、法律上どこまで主張できるのか、
実務で必ず整理すべきポイントを解説します。
結論から言うと、内縁の配偶者には法定相続権はありません。
民法上、相続人になれるのは、
配偶者(法律婚)と血族相続人に限られます。
どれほど長く同居していても、生活を共にしていても、
婚姻届を提出していなければ、原則として相続人にはなりません。
この点が、内縁関係の相続で最も大きな法的な壁になります。
では、内縁の配偶者の「家族として支えてきた」という主張は、
全く意味がないのでしょうか。
答えは、相続人にはなれないが、考慮される余地はあるです。
実務では、内縁の配偶者が次のような主張をすることがあります。
・被相続人の生活を支えていた
・長期間にわたり介護を担っていた
・事業や財産形成に貢献していた
これらは、相続権そのものとは別の形で、問題になる可能性があります。
比較的新しい制度として、特別寄与料があります。
これは、相続人ではない人が、被相続人の療養看護などに
特別な貢献をした場合に、相続人に対して金銭請求ができる制度です。
内縁の配偶者も、要件を満たせば特別寄与料を請求できる可能性があります。
ただし、
・無償で
・通常期待される範囲を超える
・客観的に認められる貢献
が必要であり、簡単に認められるものではありません。
被相続人が、生前に何も準備していなかった場合、
内縁の配偶者の立場は非常に不安定になります。
・住んでいた家を失う可能性
・預金に一切触れない
・法定相続人の判断に左右される
「家族として生きてきた」という感覚と、「法律上の立場」のギャップが、
ここで一気に表面化します。
一方、法定相続人側も注意が必要です。
内縁の配偶者の存在を軽視したり、
一方的に排除しようとすると、
・話し合いが長期化する
・感情的対立が深まる
・法的紛争に発展する
といったリスクが高まります。
「権利がない=無視してよい」ではありません。
・内縁の配偶者に法定相続権はない
・長年の同居だけで相続人にはならない
・特別寄与料など主張できる余地はある
・生前対策がないと立場は不安定
・相続人側も対応を誤ると紛争化しやすい
次回の後編では、内縁の配偶者がいる場合の現実的な落としどころ、
揉めないための生前対策を解説します。
・内縁関係がある相続案件の法的整理
・特別寄与料の検討・整理
・法定相続人との話し合い支援
・遺言書・生前対策の助言
・専門家と連携した相続サポート