相続の相談で、近年とくに感情的な対立に発展しやすいテーマの一つが、
内縁の配偶者がいるケースです。
「法律上は配偶者じゃない」
「でも、ずっと一緒に暮らしてきた」
この二つの立場がぶつかると、相続は一気に難しい局面に入ります。
亡くなったのはAさん(70代男性)。
Aさんには長年連れ添ってきた女性・Bさんがいました。
二人は婚姻届を出していませんでしたが、
・20年以上同居
・生活費はほぼ共通
・近所からは夫婦として認識されていた
まさに「内縁関係」といえる状態でした。
一方、Aさんには前妻との間に子どもが2人います。
葬儀が終わったあと、相続の話になったとき、Bさんはこう訴えました。
「私は家族として支えてきました」
「当然、相続の権利があると思っています」
これに対し、子どもたちは戸惑います。
「法律上は配偶者じゃないですよね?」
「父の財産は、私たちが相続するものでは?」
話し合いは、最初から緊張感を帯びていました。
内縁関係の相続で難しいのは、感情の重さです。
内縁の配偶者側からすれば、
・人生の大半を共に過ごした
・介護も看取りも担った
・家族としての役割を果たしてきた
という強い自負があります。
「書類がないだけで、これまでの関係が否定されるのか」
そう感じるのも、無理はありません。
一方、法定相続人である子どもたちにも、切実な思いがあります。
・相続権が侵害されるのではないか
・どこまで要求されるのか分からない
・話し合いが長期化する不安
「情に流されてはいけない」と思うほど、
内縁の配偶者の存在は大きなプレッシャーになります。
このケースで最も危険なのは、最初の一言です。
・「法律上は無関係ですよね」
・「相続人じゃないですよね」
この言葉は、内縁の配偶者にとって
「人生そのものを否定された」
と受け取られかねません。
一度感情がこじれると、その後の話し合いは極めて難しくなります。
・内縁の配偶者がいる相続は感情対立が起きやすい
・「家族だった」という感覚は非常に重い
・法定相続人側にも不安と警戒がある
・最初の言葉選びが関係を決定づける
次回の中編では、内縁の配偶者に相続権はあるのか、
法律上どこまで主張できるのかを、実務目線で整理します。
・内縁関係がある相続案件の整理
・法定相続人・内縁配偶者双方の立場整理
・感情対立を踏まえた話し合い支援
・遺産分割協議に向けた実務的助言
・弁護士等と連携した相続対応