前編では、賃貸アパートの相続が「財産を分ける話」ではなく、
家主業という役割を誰が引き継ぐかの問題であることを整理しました。
中編では、共有・単独相続・売却・法人化といった
実務上の選択肢とその注意点を見てきました。
後編では、実際にどう折り合いをつけるのか、
揉めずに相続を終わらせるための現実的な考え方を解説します。
賃貸アパートを残した父・Aさんの相続では、
当初「3人で共有すればいい」という意見が出ていました。
しかし話し合いを進める中で、次の事実が明らかになります。
・長男は地元在住で、対応は可能
・長女と次男は遠方で、日常対応は難しい
・将来の修繕や空室リスクは避けられない
この現実を踏まえ、家族は「平等に分ける」よりも、
「続けられる形」を優先する方向へと舵を切りました。
賃貸アパート相続で最も重要なのは、実際に動く人を明確に決めることです。
・入居者対応
・修繕の判断
・管理会社との交渉
これらは、誰かが責任を持って行わなければなりません。
Aさん家族では、長男が単独で相続し、
他の相続人には代償金を支払う形を選択しました。
重要なのは、「任せる側」「任される側」双方が、
その負担と責任を理解した上で合意した点です。
単独相続にすると、どうしても
「得をしているのではないか」
という疑念が生まれがちです。
そこで実務では、次のような整理が効果的です。
・不動産の評価額を明確にする
・将来の修繕リスクも含めて説明する
・代償金の算定根拠を共有する
数字と根拠を示すことで、感情論に傾くのを防ぎやすくなります。
賃貸アパート相続で、最もトラブルを防げるのは生前対策です。
・誰に引き継がせたいのか
・共有にするのか、単独にするのか
・収益と負担をどう考えているのか
これらを、遺言書や家族への説明として残しておくだけで、
相続人の迷いや対立は大きく減ります。
「子どもたちで話し合って決めてほしい」
という言葉が、実は一番の負担になることも少なくありません。
・賃貸アパート相続は「続けられる形」が最優先
・実際に動く人を明確にする
・単独相続では評価と説明が重要
・数字で整理すると感情対立を防ぎやすい
・生前対策が最大のトラブル回避策
賃貸アパートは、相続後も長く影響を与え続ける財産です。
だからこそ、「誰が引き継ぐのか」を曖昧にせず、
責任と権限をセットで考えることが、
家族関係と資産の両方を守る近道になります。
・賃貸アパート相続の全体整理
・家主業の役割と負担の可視化
・単独相続・代償分割の設計
・遺産分割協議書への反映
・生前対策(遺言書作成等)の助言