相続の場面で、家族が戸惑うケースの一つが、相続人の中に破産経験者がいる場合です。
「もう破産は終わっている」
「家族の相続だから関係ない」
そう考えて進めてしまい、後から問題が表面化するケースも少なくありません。
今回は、相続人に破産者がいる場合、
なぜ相続手続きで注意が必要なのかを整理します。
亡くなったのは父・Aさん。
相続人は次の3人でした。
・妻のBさん
・長男(安定した収入あり)
・次男Cさん(数年前に自己破産)
遺産は、
・預貯金
・地方にある土地建物
Bさんと長男は、
「Cは破産しているから、相続分はもらえないのでは」
と考えていました。
しかし、この認識には大きな落とし穴があります。
自己破産をしていても、相続人としての地位は失われません。
破産は、借金の返済義務を整理する制度であり、
親族関係や相続権を断ち切るものではないからです。
つまり、Cさんは破産者であっても、
法律上は他の相続人と同じ立場にあります。
ここを誤解したまま話を進めると、後々トラブルの火種になります。
問題の本質は、「相続分が“誰の支配下に入るか”」です。
破産者が相続によって取得した財産は、状況によっては
債権者の回収対象となる可能性があります。
つまり、家族としては「Cの取り分」と思っていても、
実際には債権者が関与してくる余地がある、ということです。
実務では、次のような判断が問題になることがあります。
・「現金はCに渡さず、不動産だけにしよう」
・「名義だけCにして、実際には使わせない」
・「話がまとまっているから問題ない」
しかし、こうした対応は、法的に問題視される可能性があります。
場合によっては、
・破産管財人が介入する
・遺産分割の有効性が争われる
・他の相続人まで巻き込まれる
といった事態に発展することもあります。
相続人に破産者がいる場合、まず整理すべきなのは次の点です。
・破産手続は終了しているか
・免責は確定しているか
・債権者からの請求リスクは残っていないか
これを確認せずに遺産分割を進めると、後からやり直しになる可能性があります。
次回の中編では、破産手続の状況ごとに、相続がどう扱われるのか、
実務での判断ポイントを詳しく解説します。
・相続人に破産者がいる場合の全体整理
・破産手続と相続の関係の確認
・遺産分割前のリスク分析
・破産管財人・専門家との連携支援
・相続トラブルを防ぐための事前整理