前編では、借地権付き建物の相続において、
「建物は相続人のものだが、土地は地主のもの」という構造が、
大きな誤解を生みやすいことを確認しました。
中編では、
どのような場面で地主の承諾が必要になるのか、
そして、なぜ相続後に条件交渉が難航しやすいのかを整理します。
借地権は相続で当然に承継されますが、
次のような行為には、原則として地主の承諾が必要です。
・建物の建て替え
・借地権付き建物の売却
・借地権の譲渡
・増改築や用途変更
相続人が
「相続したのだから自由にできる」
と考えて動くと、ここで地主との対立が表面化します。
特に多いのが、建て替えを巡る問題です。
相続した建物が老朽化しており、
「安全のために建て替えたい」と考えるのは自然な流れです。
しかし地主側は、
・将来、土地を返してもらいたい
・建物が新しくなると明け渡しが難しくなる
といった事情から、承諾に慎重になります。
結果として、
高額な承諾料や厳しい条件を提示され、
話し合いが難航するケースも少なくありません。
借地権付き建物を第三者に売却する場合も、
地主の承諾が必要になります。
相続人としては、
「売って現金化したい」
と考えていても、
地主が承諾しなければ話は進みません。
ここで、
承諾料の金額や、新しい借地人との契約条件を巡って、
交渉が長期化することがあります。
承諾料について、
「必ず払わなければならないのか?」
という質問をよく受けます。
法律で一律に金額が決まっているわけではありませんが、
契約書に承諾料の定めがある場合や、
実務上の慣行として求められるケースは多くあります。
重要なのは、
感情的に拒否するのではなく、契約内容と相場を踏まえて整理することです。
借地契約が、
・旧借地法によるものか
・借地借家法によるものか
によっても、地主との力関係は変わります。
古い契約ほど借地人が強く、
地主が簡単に契約を解消できないケースもあります。
この点を知らずに交渉を進めると、
不利な条件を受け入れてしまう可能性があります。
・建て替え・売却・譲渡には地主の承諾が必要
・建て替えは特に対立が起きやすい
・承諾料は契約内容と実務慣行が重要
・借地法の種類によって交渉の前提が変わる
次回(後編)では、
実際に地主と揉めた場合、どう対応し、どこに落としどころを見出すのか、
現実的な解決策を解説します。