「遺言書に“長男は生前に多額の援助を受けているため相続分を減らす”と書かれていました。
これって本当に有効なんでしょうか?」
相続の現場で、近年とても増えている相談です。
ポイントになるのが、**「特別受益」**という考え方です。
前編では、
そもそも特別受益とは何か/なぜ揉めやすいのかを、ケースを通じて整理します。
被相続人は父。
相続人は、長男Aさん、次男Bさん、長女Cさんの3人です。
父の遺言書には、次のような一文がありました。
「長男Aは、住宅購入資金として生前に多額の援助を受けているため、
相続分は他の相続人より少なくする」
これを見たAさんは驚きます。
「確かに援助は受けたが、そんな話は一度も聞いていない」
一方、BさんとCさんは
「やっぱり不公平だったんだ」と納得した様子。
こうして、“特別受益”をめぐる感情の対立が始まります。
特別受益とは、
相続人が被相続人から生前に受けた特別な利益のことを指します。
典型例としては、
などが挙げられます。
これらは、
「すでに多くもらっているのだから、相続では調整しよう」
という考え方につながります。
ここで重要なのは、
生前援助=すべて特別受益ではないという点です。
判断では、次のような点が考慮されます。
たとえば、
生活費の仕送りや通常の学費負担は、
特別受益に該当しないケースも多くあります。
「遺言書に書いてあるのだから絶対だ」
と思われがちですが、そう単純ではありません。
遺言で特別受益に触れていても、
といった場合、
相続人間で強い反発が生まれ、
結果として紛争が深刻化することがあります。
・特別受益とは、生前に受けた「特別な利益」を相続で調整する考え方
・住宅資金や開業資金などが典型例
・ただし、生前援助すべてが特別受益になるわけではない
・遺言書に書いても、内容次第では揉める火種になる
次回(中編)では、
どこまでが特別受益として認められるのか/具体的な判断基準を
もう一歩踏み込んで解説します。