前編では、相続人の一人が認知症の場合、原則として相続手続きが止まること、
中編では、成年後見人を立てると相続がどう進むのか、その現実的な影響を整理しました。
後編では、「本当に成年後見制度を使うべきか」
そして 後悔しない判断をするための視点 をまとめます。
成年後見制度は、認知症の方の権利を守るための重要な制度です。
しかし相続の場面では、
「相続を進めるためにやむを得ず使う制度」
という位置づけになることが少なくありません。
理由は明確です。
つまり、相続が終わっても“管理体制だけが残る” 可能性があります。
結論から言うと、ケースは限られますが「あります」。
代表的なのは次のような場合です。
特に 公正証書遺言 があれば、
成年後見制度を使わずに相続を完結できるケースもあります。
実務で多い後悔は、
「相続を急ぐあまり、深く考えずに後見申立てをした」
というものです。
後から、
「もっと別の方法があったのでは」
「後見が続くとは思わなかった」
と気づいても、簡単には止められません。
だからこそ重要なのが、
後見を立てる前に、相続全体のゴールを明確にすることです。
ここを整理せずに進むと、相続後の負担が重く残ります。
成年後見制度を使うべきかどうかの判断軸は、
単に法律論だけではありません。
これらを総合的に見て、
「今後10年を見据えた判断」 をする必要があります。
・成年後見制度は相続を進める有効な手段だが、影響は長期に及ぶ
・遺言書があれば、後見を使わずに済むケースもある
・「とりあえず後見」は後悔につながりやすい
・後見申立て前に、相続のゴールと将来負担を整理することが重要
相続人に認知症の方がいる場合、
「急ぐべきか」「立ち止まるべきか」 の見極めが何より重要です。
制度を使う前の一歩こそ、専門家の力が活きる場面です。