前編では、農地相続において農地法という強い規制があること、
中編では、単独取得・共有・売却といった分割パターンとその限界を整理しました。
後編では、農地相続で現実的な解決策をどう組み立てるか、
そして「相続人が後悔しない判断」の考え方をまとめます。
農地相続は、条文だけで解決できる問題ではありません。
実務では、次の3点をセットで考えます。
① 農地法上、どこまで可能か
② 農業委員会がどう判断するか
③ 地域で実際に農地が動いているか
特に③は見落とされがちですが、
「制度上は可能でも、地域的に買い手がいない」
というケースは珍しくありません。
相続人の一人が名義を引き受け、
地元農家に貸す・管理を委ねるという方法です。
農地法3条の許可が前提となりますが、
地域に受け手がいれば、
「売れない農地を抱える」よりは現実的な選択となることがあります。
すぐの転用が難しくても、
白地農地など将来の農振除外の可能性がある場合、
短期で結論を出さないという選択肢もあります。
この場合、
を遺産分割協議で明確にしておくことが重要です。
売却の見込みが極めて低い場合でも、
相続人間で「将来売れたらどう分けるか」を
あらかじめ決めておくことで、
“争いの種”を減らすことができます。
実務で多い失敗は次の通りです。
農地は、
「相続してから考える」では遅い財産です。
・農地相続は「法」「行政」「地域事情」をセットで考える
・現実的な解決策は、賃貸・将来転用・換価分割の整理など複合的
・最大のリスクは、調査不足のまま決めてしまうこと
・早い段階で専門家・農業委員会を巻き込むことが、争い回避につながる
農地相続は、
「公平に分ける」よりも
「誰も困らない形で引き継ぐ」視点が重要です。