「兄は日本国籍だけど、妹は結婚してアメリカ国籍。
この場合もふつうに相続できるんですよね?」
実務では、相続人の一部が外国籍・海外在住というケースが増えています。
ところが、戸籍や住民票が“当たり前にある”日本人だけの相続と違い、
思いのほか手続きが進まず、金融機関や法務局で立ち止まってしまうことがあります。
被相続人は母Mさん。
相続人は、長男Aさん(日本在住・日本国籍)と、
カナダに永住している長女Bさん(カナダ国籍を取得、日本国籍は喪失)の2人です。
Mさんの預金解約と自宅不動産の名義変更を進めようとしたところ、
金融機関の担当者からこう言われました。
「お嬢さんが日本国籍を失っているなら、
その方が“相続人本人であること”を証明する書類が必要です。」
Aさんは戸籍謄本一式を揃えているつもりでしたが、
そこにはすでに「Bさんの除籍」としか書かれておらず、
“今のBさん”につながる公的書類がありません。
ポイントはシンプルで、
①相続人であることの証明と
②本人確認の証明が、日本人相続人よりもずっと複雑になるからです。
日本人同士であれば、
などで、
「誰が相続人か」「その人が本人か」をほぼ完結できます。
一方、外国籍・海外在住の相続人の場合、
といった理由から、
“日本側の書類”と“外国側の書類”を橋渡しする作業が必要になります。
相談で多いのが次のような誤解です。
しかし実務上は、
を確認するため、
**複数の書類+翻訳+場合によっては認証(アポスティーユなど)**が求められます。
その結果、
「海外在住の兄弟から書類がなかなか届かない」
「何を集めればよいか分からず、相手国の役所とのやり取りで疲弊する」
という状態になり、相続全体が何ヶ月も止まることがあります。
・相続人に外国籍・海外在住の人がいると、
“相続人であること”と“本人であること”の証明が二重に難しくなる
・日本の戸籍だけではつながらず、
外国の公的書類+翻訳+認証が必要になることが多い
・必要書類が分からないまま動くと、金融機関や法務局で差し戻しとなり、
相続手続きが長期化しやすい
次回(第14話②・中編)では、
具体的に どのような書類を集めるのか/海外在住の相続人とどう連携するか を、
ケースに沿って整理していきます。