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    「相続手続きを進めたいのに、相続人の一人と連絡が取れない。」
    これも現場では珍しくありません。仲が悪い、音信不通、住所不明、海外にいる…理由は様々ですが、共通するのは “相続手続きが止まる” という現実です。今回は、兄弟の一人が行方不明で遺産分割が進まなくなったケースをもとに、前編では「なぜ止まるのか」「まず何から着手するか」を整理します。

    ■ケース:相続人の一人(弟Dさん)が突然いない

    被相続人は父Pさん。相続人は長男Aさん、長女Bさん、次男Dさんの3人。
    父の預金解約や不動産名義変更を進めようとしたところ、次男Dさんと数年連絡が取れていないことが判明しました。携帯は不通、SNSも反応なし。兄妹は「もうこのまま2人で進められないか」と考えますが、ここに大きな落とし穴があります。


    ■なぜ“行方不明”だと相続手続きが止まるのか

    相続手続きには、原則として相続人全員の関与が必要です。
    特に遺産分割協議は、相続人全員の合意(署名押印)がないと成立しません。相続登記や預金解約でも、遺産分割協議書など全員の同意を前提とする場面が多く、Dさんが欠けると進められなくなります。

    「連絡が取れないのだから、Dさん抜きで…」という発想は、後から無効・やり直しのリスクが高く、結果的に時間も費用も増えがちです。


    ■前編の結論:まず“戸籍”と“住民票(住所)”で現状確認

    行方不明対応で最初にやるべきは、推測や憶測ではなく 公的記録で追う ことです。具体的には次の順番です。

    1. 相続人を確定する(戸籍で全員を確定)
    2. 住所を追う(戸籍の附票・住民票)
    3. 送達できるかを確認する(郵送が届く住所があるか)

    「行方不明」といっても、単に転居して住所が変わっているだけ、ということもあります。まずは“現住所が取れるか”で、取れる対応がガラッと変わります。


    ■ここで分かれる2つのルート

    調査の結果、次のどちらかに分かれます。

    • 住所が分かり、郵便が届く:
       →書面で丁寧に連絡し、協議参加を促すルート
    • 住所が分からない、または届かない:
       →家庭裁判所手続き(不在者財産管理人・失踪宣告等)を検討するルート

    後編に向けて重要なのは、「いきなり裁判所」ではなく、まず到達可能性を潰すことです。裁判所手続きは時間も費用もかかるため、最短ルートの見極めが大切になります。


    ■まとめ(前編)

    ・相続人が欠けると遺産分割協議が成立せず、手続きが止まりやすい
    ・まずは戸籍・戸籍の附票・住民票で住所を追い、公的記録で状況確認
    ・住所が分かるかどうかで「連絡ルート」か「裁判所ルート」かが決まる

    次回(中編)では、住所が分かった場合の具体的な連絡方法と、協議参加を促す実務(文面・注意点)を解説します。


    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    • 戸籍収集・相続人確定、法定相続情報一覧図の作成
    • 戸籍の附票・住民票等による所在調査の手配
    • 行方不明相続人への連絡文案・送付設計(内容証明等の整理)
    • 遺産分割協議書案の作成支援(進め方の整理含む)
    • 事案に応じた司法書士・弁護士との連携(裁判所手続き含む)

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