相続トラブルの中でも近年増えているのが、「遺言執行者が動かない」 という相談です。
遺言書に
「遺言執行者:友人のYさん」
と記載し、家族以外の信頼できる人物を指定するケースは決して珍しくありません。
しかし、現実には “善意の素人” が責任の重さに耐えられず、手続きが完全に止まってしまうということが発生することがあります。
今回の主人公は、長女Dさん(50代)。
亡くなった父Fさんの遺言には、こう記されていました。
「遺言執行者として、友人のYに全てを任せる。」
Dさんは「父の親友なら安心」と思っていました。
しかし相続が始まると、その期待は大きく裏切られます。
遺言内容はシンプルで、
「財産はすべて二人の娘へ。遺言執行者はYに任せる」というもの。
ところが、問題は“遺言執行者が誰か”ではなく、“遺言執行者が動いてくれるかどうか” にありました。
相続開始後、DさんはYさんに連絡しました。
Dさん
「遺言執行の手続きをお願いできますか?」
Yさん
「うん…そのうちね。いろいろ忙しくて…」
それから1週間、2週間――
待っても動く気配はありません。
銀行手続きも、名義変更も、遺産の調査すら進まない。
さらにYさんは、相続人への説明や書類確認を求められると、
「よく分からない」
「専門家じゃないから」
「面倒なことはそっちで準備して」
と、責任を回避するような発言を繰り返します。
DさんとEさんの不安は次第に焦りへと変わっていきます。
遺言執行者が機能しないと、相続手続きは完全に止まります。
金融機関は遺言執行者の手続きがなければ動きません。
相続登記は遺言執行者の権限。
「Yさん、財産を把握しているの?」
「本当にやる気があるの?」
と不信感が生まれます。
固定資産税の支払い、預金の引き出し、管理費など、相続人の生活に影響する場面も多いのです。
Dさんはこう感じ始めます。
「父は信頼できる友人に任せたつもりだったのに…こんなに大変だなんて。」
遺言執行者は、遺言の内容を確実に実行するための“責任者”です。
その職務は想像以上に重く、専門知識も必要です。
普通の友人に担える負担ではありません。
次回(第9話②・中編)では、
遺言執行者Yさんが動かなかった理由、
相続人Dさんたちがどう対処したのか、
そして第三者の介入がどう事態を改善したのかを解説します。
・遺言執行者の代理・サポート
・遺言執行人が動かない場合の対応方法の助言
・金融機関・法務局手続きの一元サポート
・遺言書作成時の「適切な遺言執行者」の選定支援
・相続人への説明資料作成・協議調整
・司法書士・税理士・弁護士との連携によるワンストップ対応