父Lさんの相続開始後、Kさんは兄Nさん・弟Oさんとの遺産分割協議で
「私は一番介護したのだから、寄与分を主張したい」と伝えました。
しかし返ってきたのは、冷たい現実。
兄Nさん:
「介護っていっても、同居してたんだから当然じゃない?」
弟Oさん:
「私たちだって、毎月仕送りしてたよ。公平がいい。」
Kさんは戸惑いました。
“事実”を話しても、“思い”を伝えても、相手にはなかなか伝わらないのです。
そこで税理士が、静かにこう言いました。
「寄与分は、言っただけでは認められません。
“証拠”が必要なんです。」
寄与分を主張するには、
「どれだけ特別な働きをしたのか」
を客観的に示す必要があります。
つまり、
“大変だった”という気持ちではなく、“特別な寄与”を証明する資料 が求められるのです。
Kさんが求められた証拠は次のとおりです。
Kさんは言いました。
「そんなもの…とっていません。」
多くの介護者が同じ落とし穴に陥ります。
“家族だから当然”と思って頑張った行動は、
法的には“証拠がなければ評価されない” のです。
証拠集めを進める中で、兄弟間の空気はさらに悪くなっていきます。
Nさんは「大げさすぎる」と不満を漏らし、
Oさんは「そんなに主張するなら、距離を置く」と言い出しました。
Kさんは心の中で思いました。
「家族のために頑張ったのに、なんで責められるの?」
しかし、争いが起こるのは珍しいことではありません。
寄与分の議論は、
“介護の負担を見ていなかった兄弟”と、“実際に介護してきた子ども”
の間で、とても大きな溝を生みやすいのです。
調停委員は、次のように説明しました。
「寄与分は“特別な貢献”があった場合に認められます。
一般的な家族の介護や扶養は、法的には寄与分にならないのです。」
Kさんは愕然としました。
父の最後の10年間、
雨の日も雪の日も毎日実家に通い、
仕事を早退して病院へ行き、
休日は買い物・掃除・手続きでつぶれました。
しかし裁判所の基準は、
“その介護が、被相続人の財産維持にどれほど貢献したか”
という点に絞られるため、
“気持ち”や“がんばり”は直接的には評価されにくいのです。
次回(第7話③・後編)では、
Kさんの寄与分が最終的にどう判断されたのか。
そして、家族が争わないために何が必要なのかを解説します。
・寄与分主張に必要な資料整理・説明資料の作成
・介護記録・金銭管理などの“証拠化”サポート
・遺産分割協議書・調停資料の作成
・争族を防ぐための生前対策(任意後見・家族信託・遺言)
・司法書士、税理士、弁護士との連携支援