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    ■寄与分を主張すると何が起こるのか

    父Lさんの相続開始後、Kさんは兄Nさん・弟Oさんとの遺産分割協議で
    「私は一番介護したのだから、寄与分を主張したい」と伝えました。

    しかし返ってきたのは、冷たい現実。

    兄Nさん:
    「介護っていっても、同居してたんだから当然じゃない?」
    弟Oさん:
    「私たちだって、毎月仕送りしてたよ。公平がいい。」

    Kさんは戸惑いました。
    “事実”を話しても、“思い”を伝えても、相手にはなかなか伝わらないのです。

    そこで税理士が、静かにこう言いました。

    「寄与分は、言っただけでは認められません。
     “証拠”が必要なんです。」

    ■寄与分の主張に求められる“証拠”

    寄与分を主張するには、
    「どれだけ特別な働きをしたのか」
    を客観的に示す必要があります。

    つまり、
    “大変だった”という気持ちではなく、“特別な寄与”を証明する資料 が求められるのです。

    Kさんが求められた証拠は次のとおりです。

    • 介護記録(何年、どんな頻度で行ったか)
    • 通院・入退院の付き添い履歴
    • 介護保険サービスがどれくらい利用されていたか
    • 家事・金銭管理をどの程度担っていたか
    • 医療費や生活費をKさんが負担した証拠
    • 兄弟の関与状況を示す資料

    Kさんは言いました。
    「そんなもの…とっていません。」

    多くの介護者が同じ落とし穴に陥ります。
    “家族だから当然”と思って頑張った行動は、
    法的には“証拠がなければ評価されない” のです。

    ■兄弟間に起こった“感情の対立”

    証拠集めを進める中で、兄弟間の空気はさらに悪くなっていきます。

    Nさんは「大げさすぎる」と不満を漏らし、
    Oさんは「そんなに主張するなら、距離を置く」と言い出しました。

    Kさんは心の中で思いました。
    「家族のために頑張ったのに、なんで責められるの?」

    しかし、争いが起こるのは珍しいことではありません。
    寄与分の議論は、
    “介護の負担を見ていなかった兄弟”と、“実際に介護してきた子ども”
    の間で、とても大きな溝を生みやすいのです。

    ■“特別の寄与”とは何か

    調停委員は、次のように説明しました。

    「寄与分は“特別な貢献”があった場合に認められます。
     一般的な家族の介護や扶養は、法的には寄与分にならないのです。」

    Kさんは愕然としました。
    父の最後の10年間、
    雨の日も雪の日も毎日実家に通い、
    仕事を早退して病院へ行き、
    休日は買い物・掃除・手続きでつぶれました。

    しかし裁判所の基準は、
    “その介護が、被相続人の財産維持にどれほど貢献したか”
    という点に絞られるため、
    “気持ち”や“がんばり”は直接的には評価されにくいのです。

    ■まとめ(中編の要点)

    • 寄与分の主張には“証拠”が必要
    • 一般的な介護・扶養では寄与分になりにくい
    • 兄弟間で「見えない負担の差」が争いを生む
    • 寄与分は感情だけではなく、法的評価の仕組みが重要

    次回(第7話③・後編)では、
    Kさんの寄与分が最終的にどう判断されたのか。
    そして、家族が争わないために何が必要なのかを解説します。

    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・寄与分主張に必要な資料整理・説明資料の作成
    ・介護記録・金銭管理などの“証拠化”サポート
    ・遺産分割協議書・調停資料の作成
    ・争族を防ぐための生前対策(任意後見・家族信託・遺言)
    ・司法書士、税理士、弁護士との連携支援


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