前編では、著作権や収益化アカウントが相続財産になり得ることを、
中編では、ログイン障害や規約の壁、評価の難しさを整理しました。
後編では、デジタル遺産で揉めないために何が必要か、
生前にできる具体的な対策を見ていきます。
Aさんの動画配信チャンネルは、毎月一定の広告収益を生んでいました。
しかし、ログイン情報が不明のままでは、
管理も継続もできません。
結局、プラットフォームに死亡の事実を届け出て、
アカウントを停止するという選択をしました。
収益の可能性はあったものの、引き継ぎが現実的でなかったためです。
「価値があるのに活かせない」
これがデジタル遺産の難しさです。
実務上、デジタル遺産で混乱を避けるには、次の原則が重要です。
・利用サービスの一覧を残す
・ログイン情報の管理方法を決める
・収益の有無を家族と共有する
・著作権の扱いを整理しておく
特に、収益がある場合は、その存在を相続人が認識しているかどうかで、対応の難易度が大きく変わります。
一方で、単純にパスワードを共有することが、常に最善とは限りません。
セキュリティや不正利用の問題もあるため、
・パスワード管理ツールを利用する
・信頼できる第三者に保管を依頼する
・エンディングノートに記載する
といった方法が考えられます。
重要なのは、「家族が存在を把握している」状態を作ることです。
動画や文章、音楽などの著作物は、形のない財産です。
しかし、将来にわたり収益を生む可能性もあります。
・電子書籍の印税
・音楽の利用料
・写真の使用料
これらを放置すれば、権利行使ができなくなる場合もあります。
デジタル遺産は、「放っておくと消える財産」でもあるのです。
最も有効なのは、やはり生前対策です。
・遺言書で著作権の帰属を明示する
・収益アカウントの引き継ぎ方針を決める
・必要に応じて法人化を検討する
これらを準備しておけば、相続開始後の混乱は大きく減ります。
・デジタル遺産は放置すると失われやすい
・ログイン情報の管理が鍵になる
・著作権は重要な財産になり得る
・生前に整理しておくことが最大の対策
・家族に存在を共有することが第一歩
相続は、もはや不動産や預金だけの問題ではありません。
目に見えないデジタル資産も、確実に家族へ影響を与えます。
だからこそ、早い段階で整理し、形のない財産も守る視点が求められます。
・デジタル遺産の洗い出しと整理
・著作権相続の確認と助言
・収益評価の検討
・遺産分割協議書作成支援
・専門家と連携した相続対応