前編では、預貯金の金額だけを見て「相続税はかからない」と判断せず、財産全体を確認することが大切だとお伝えしました。
中編では、一見すると相続税申告は不要に見えても、税理士へ確認した方がよい具体的なケースを整理します。
■不動産があり、基礎控除に近い場合
まず確認したいのが、不動産を含めると基礎控除を超えるか微妙なケースです。
例えば、
・預貯金2,000万円
・自宅の土地と建物
・生命保険金
といった財産がある場合です。
土地は、固定資産税評価額をそのまま相続税評価額として使うとは限りません。
路線価方式や倍率方式などで評価するため、「預貯金と固定資産税評価額を足したら基礎控除以下だった」というだけでは判断しにくい場合があります。
また、評価額が基礎控除に近い場合は、遺産分割を確定する前に税務上の確認をしておくことで、その後の手続きを進めやすくなることもあります。
■生命保険金を受け取っている場合
死亡保険金も確認しておきたいところです。
被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、一定の場合、相続税の対象となります。
一方、相続人が受け取る死亡保険金には、
500万円×法定相続人の数
という非課税限度額があります。
「保険金は遺産分割の対象ではないから相続税にも関係ない」と考えてしまうと、判断を誤る可能性があります。
誰が保険料を負担し、誰が受取人なのかも含めて確認することが大切です。
■生前贈与を受けていた場合
亡くなる前に子どもや配偶者へ贈与していた場合も注意が必要です。
相続開始前の一定期間に被相続人から暦年課税による贈与を受けていた場合、その財産を相続税の計算上加算することがあります。
また、相続時精算課税を利用していた場合も別の確認が必要です。
「亡くなった時点で持っていた財産だけ」を集計すればよいとは限らないということです。
過去の贈与について本人以外の家族が詳しく把握していないこともあるため、通帳や贈与契約書など、手元の資料を確認しておきたいところです。
■特例を使えば税金がゼロになる場合
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使うことで、結果として納付する相続税がゼロになるケースがあります。
ただし、こうした制度には要件があり、適用を受けるために相続税申告が必要となる場合があります。
「配偶者が全部相続するから税金はかからない」
「自宅の土地だから特例が使えるだろう」
と自己判断せず、要件まで確認しておきたいところです。
■中編まとめ
税理士へ確認した方がよいのは、明らかに多額の財産がある場合だけではありません。
・不動産の評価が分からない
・生命保険金がある
・生前贈与を受けている
・配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が関係しそう
こうした場合は、基礎控除内に見えても、一度確認する意味があります。
相続税は、財産の「金額」だけでなく、「内容」や「取得の経緯」まで確認して判断することが大切です。
次回の後編では、税理士へ相談する際に、どのような資料を整理しておくと確認が進めやすいかを整理します。
■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること
・相続人調査、戸籍収集支援
・相続財産、債務の整理支援
・財産目録の作成支援
・遺産分割協議書、確認書等の作成支援
・相続税の確認が必要な場合の税理士連携
・司法書士、弁護士等との連携