相続手続きでは、亡くなった方の預貯金、不動産、自動車などを、相続人の間でどのように分けるかを話し合います。
その内容をまとめる書類が、遺産分割協議書です。
一方で、相続ではプラスの財産だけでなく、借入金やローンなどのマイナスの財産が問題になることもあります。
このときに注意したいのが、ローンは遺産分割協議だけで自由に処理できるとは限らない、という点です。
前編では、亡くなった方にローンがあった場合の基本的な考え方を整理します。
■借入金も相続で問題になる
相続と聞くと、預貯金や不動産を誰が取得するかに目が向きやすいです。
しかし、亡くなった方に借入金、住宅ローン、カードローン、事業資金の借入れなどがある場合、その返済義務をどう考えるかも重要です。
通帳の引き落とし、金融機関からの通知、契約書、返済予定表、督促状などから、借入れの存在が分かることがあります。
相続人の方が生前の借入状況を詳しく把握していないこともあります。
そのため、相続財産を整理するときは、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も確認しておく必要があります。
■遺産分割協議で決めても、債権者には当然に通用しない
相続人の間では、
「この不動産を取得する人がローンも負担する」
「預金を多く受け取る人が借入金も返す」
といった話し合いをすることがあります。
相続人同士の内部的な取り決めとして、そのような整理をすること自体はあります。
しかし、その取り決めが、金融機関などの債権者に当然に通用するとは限りません。
借入金は、相続開始により、法律上は相続人が法定相続分に応じて承継すると整理されることがあります。
そのため、相続人同士で「誰か一人が全部払う」と決めても、債権者がそれをそのまま受け入れるとは限りません。
債務の引受けや返済方法については、債権者である金融機関等への確認が必要になります。
■ローンの種類によって確認事項が変わる
ローンといっても、内容はさまざまです。
住宅ローンであれば、団体信用生命保険が付いているかどうかを確認する必要があります。
保険によって残債がなくなる場合もあれば、一部だけ残る場合もあります。
連帯債務者や連帯保証人がいる場合は、その方の責任も確認が必要です。
また、カードローンや事業資金の借入れでは、契約内容、残高、返済状況、保証人の有無などを確認する必要があります。
同じ「ローン」でも、確認すべき資料や手続き先は異なります。
■前編まとめ
亡くなった方にローンがあった場合、遺産分割協議書に「誰が負担する」と書けばすべて解決するとは限りません。
相続人同士の合意と、金融機関など債権者との関係は分けて考える必要があります。
まずは、どのような借入れがあるのか、残高はいくらか、保証人や連帯債務者がいるのか、保険で返済される可能性があるのかを確認することが大切です。
次回の中編では、住宅ローンやカードローンなど、具体的なローンごとに確認したいポイントを整理します。
■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること
・相続財産、借入金等の整理支援
・金融機関への確認事項の整理
・遺産分割協議書作成支援
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・相続手続き全体の進行整理
・必要に応じた司法書士、税理士、弁護士等との連携