前編では、相続手続きで不動産を確認する際、名寄帳を取ることで自宅以外の不動産が見つかることがあるとお伝えしました。
中編では、名寄帳を確認するときに、実務上どのような点でつまずきやすいのかを整理します。
■名寄帳に載っているから安心とは限らない
名寄帳は、亡くなった方がその市区町村内に所有していた不動産を確認するうえで、とても重要な資料です。
ただし、名寄帳を取っただけで不動産の確認がすべて終わるわけではありません。
名寄帳は、固定資産税の課税を目的とした資料です。
そのため、相続登記で必要になる登記簿上の表示とは、記載内容や見え方が異なることがあります。
名寄帳に載っている所在地や地番を確認したうえで、登記簿の内容と照合することが大切です。
その際は、不動産の表示だけでなく、所有者名や共有持分も確認しておきたいところです。亡くなった方が全部を所有していたのか、一部の持分だけを持っていたのかで、協議書の書き方も変わります。
「名寄帳に載っているから、そのまま協議書に書けば大丈夫」と考えるのではなく、登記手続きで使える形になっているかを確認する必要があります。
■評価額が低い不動産を見落としやすい
名寄帳を見ると、評価額の低い土地や建物が載っていることがあります。
評価額が低いと、相続人の方は「これは大した財産ではない」と感じるかもしれません。
しかし、評価額が低いことと、相続手続きで確認しなくてよいことは別です。
例えば、私道部分の持分や、わずかな共有持分の土地は、評価額が小さいことがあります。
それでも、亡くなった方の名義で残っている以上、誰が相続するのかを整理しておく必要があります。
小さな不動産を見落とすと、後から追加の遺産分割協議書が必要になることがあります。
■市区町村ごとに確認が必要になる
名寄帳は、その市区町村内の不動産を確認するための資料です。
そのため、一つの市区町村で名寄帳を取得しても、他の市区町村にある不動産までは確認できません。
亡くなった方が以前住んでいた地域、実家のあった地域、親から引き継いだ土地がある地域などは、別に確認が必要になることがあります。
固定資産税通知書、過去の郵便物、権利証、登記識別情報通知、古い売買契約書などから、他の地域に不動産がないか手がかりを探すこともあります。
「今住んでいた市町村だけ確認すれば十分」と決めつけないことが大切です。
■中編まとめ
名寄帳は、相続不動産を確認するための大切な資料ですが、取得しただけで安心できるものではありません。
名寄帳に載っている不動産については、登記簿の内容と照合し、相続手続きで使える形に整理する必要があります。
また、評価額が低い土地、私道持分、共有持分などは見落とされやすいため注意が必要です。
さらに、名寄帳は市区町村ごとの資料であるため、他の地域に不動産がある可能性も確認しておきたいところです。
次回の後編では、名寄帳で確認した不動産を、遺産分割協議書や相続登記につなげるための整理方法についてお伝えします。
■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること
・名寄帳、固定資産税通知書等の確認支援
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・必要に応じた司法書士、税理士、弁護士等との連携