前編では、金融機関の相続届は、単に空欄を埋める書類ではなく、相続人、受取人、添付書類を確認してから作成する必要があるとお伝えしました。
中編では、相続人欄、受取口座、押印箇所、印鑑証明書、本人確認書類、通帳やキャッシュカードなど、実際につまずきやすい確認事項を整理しました。
後編では、金融機関の相続届を遠回りさせないために、実務ではどのように準備して進めるべきかをお伝えします。
■先に全体像を整理する
相続届を書く前に、まず相続手続きの全体像を整理することが大切です。
誰が相続人なのか。
どの金融機関の、どの口座を手続きするのか。
誰が預金を受け取るのか。
相続人全員の署名押印が必要なのか。
遺産分割協議書を作成する必要があるのか。
こうした点を確認しないまま相続届を書き始めると、途中で記入内容を直したり、相続人に再度説明したりすることがあります。
書類の書き方だけでなく、何を前提にその書類を作るのかを先に確認しておくことが重要です。
■金融機関ごとの必要書類を確認する
次に、その金融機関で必要になる書類を確認します。
同じ預貯金の相続手続きでも、銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行などで、相続届の様式や必要書類が異なることがあります。
戸籍の範囲、印鑑証明書の期限、本人確認書類、通帳やキャッシュカードの扱い、原本提出の要否なども確認が必要です。
また、郵送で手続きできるのか、窓口での確認が必要なのかによって、段取りも変わります。
確認した内容は、後から見返せるようにメモしておくと、相続人への説明や書類準備もしやすくなります。
先に必要書類を一覧にしておくと、相続人へ何を依頼すればよいのかも整理しやすくなります。
■相続人への説明を整える
相続届では、相続人全員の署名押印や印鑑証明書が必要になる場合があります。
そのため、相続人に書類を送る前に、なぜその書類が必要なのか、どこに署名押印するのか、何を返送してもらうのかを分かりやすく説明することが大切です。
特に、遠方の相続人や疎遠な相続人がいる場合には、いきなり相続届だけを送ると戸惑われることがあります。
預金額が少ない場合でも、金融機関の手続き上、必要な書類は省略できないことがあります。
相続人への説明を整えておくことは、書類の不備を防ぐだけでなく、協力を得やすくするためにも重要です。
■後編まとめ
金融機関の相続届は、書き方そのものよりも、書く前の確認事項が多い書類です。
相続人の確定、受取人の確認、必要書類の整理、押印箇所の確認、相続人への説明。
これらを整えてから相続届を作成することで、差し戻しや再提出を防ぎやすくなります。
相続届は、金融機関に提出するための書類であると同時に、相続関係と手続き内容を整理するための書類でもあります。
最初に全体像を確認し、金融機関ごとの取扱いを把握し、相続人へ説明できる形にしておくことが、預貯金の相続手続きを円滑に進めるための土台になります。
■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・金融機関の相続手続きに向けた書類整理
・相続届、相続手続依頼書の確認支援
・遺産分割協議書作成支援
・相続人への説明文書作成支援
・必要に応じた司法書士、税理士、弁護士等との連携