【相続コラム375:相続手続きの現場編(第30話②)】預金口座が一つだけでも、相続手続きに時間がかかる理由(中編)
前編では、預金口座が一つだけであっても、金融機関では相続手続きとして扱われ、相続人確認や必要書類の確認が必要になるとお伝えしました。
中編では、実際にどのような場面で預金口座の相続手続きに時間がかかりやすいのかを整理します。
■戸籍が一通では足りないことがある
預金口座の相続手続きでは、亡くなった方の死亡の記載がある戸籍だけで足りるとは限りません。
金融機関は、誰が相続人なのかを確認する必要があります。
そのため、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍や、相続人の現在戸籍などが必要になることがあります。
配偶者と子が相続人であれば比較的確認しやすい場合もありますが、子がいない相続、兄弟姉妹相続、代襲相続がある場合には、確認すべき戸籍が一気に増えることがあります。
ご家族としては、「預金口座は一つだけなのに」と感じるかもしれません。
しかし、口座の数ではなく、相続人を確認するために必要な戸籍がどこまで必要かで、時間が変わります。
戸籍は、ただ集めればよいだけではありません。金融機関が相続関係を確認できるように、つながりを整理して提出することも大切です。
■相続人全員の協力で止まることがある
預金の解約や払戻しでは、相続人全員の同意、署名押印、印鑑証明書が必要になる場合があります。
相続人が近くに住んでいて、連絡も取りやすければ、比較的スムーズに進むこともあります。
一方で、相続人が遠方に住んでいる場合、仕事や家庭の事情で書類の準備に時間がかかる場合、長年連絡を取っていない場合には、手続きが止まりやすくなります。
また、預金額が少ない場合ほど、「この金額のために印鑑証明書までお願いしてよいのか」と、依頼する側がためらうこともあります。
それでも、金融機関の手続き上必要であれば、相続人に協力をお願いしなければなりません。
■金融機関ごとの書式で時間がかかる
預金口座が一つだけでも、その金融機関の相続手続きの流れに沿って進める必要があります。
金融機関によって、相続届の書式、必要書類、提出方法、原本確認の扱いなどが異なることがあります。
戸籍一式を準備してから金融機関に確認したところ、追加書類を求められることもあります。
また、窓口での確認、郵送でのやり取り、書類の不備による差し戻しなどで、想定より時間がかかることもあります。
預金口座が一つだけであっても、金融機関側の確認が終わるまでは、手続きは完了しません。
■中編まとめ
預金口座が一つだけでも、戸籍収集、相続人全員の協力、金融機関ごとの書式確認で時間がかかることがあります。
手続きが重くなる理由は、預金額や口座数だけでは判断できません。
誰が相続人なのか、相続人全員の協力を得られるか、金融機関の必要書類が揃っているかによって、進み方は大きく変わります。
次回の後編では、預金口座が一つだけの相続手続きを遠回りさせないために、実務ではどのように整理して進めるべきかをお伝えします。
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