相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を確認する必要があります。
その中で、戸籍収集が大変になりやすいケースの一つが「転籍が多い方」の相続です。
転籍とは、本籍地を別の場所に移すことです。
住所の引っ越しとは違い、本籍地を変更する手続きですが、転籍が何度もあると、戸籍収集の手間が大きく増えることがあります。
今回は前編として、なぜ転籍が多いと相続手続きの戸籍収集が大変になるのか、その基本的な理由を整理します。
戸籍は、本籍地のある市区町村で管理されています。
そのため、亡くなった方が転籍している場合、転籍前と転籍後で戸籍の請求先が変わることがあります。
例えば、死亡時の本籍地が小樽市であっても、以前は札幌市、その前は道外の市町村に本籍があったということもあります。
この場合、小樽市だけに請求しても、出生から死亡までの戸籍がすべてそろうとは限りません。
死亡時の戸籍を確認し、そこに記載された転籍前の本籍地を手掛かりに、一つ前の市区町村へ請求する必要があります。
転籍が多いほど、この作業を何度も繰り返すことになります。
転籍がある場合、単に「次の役所へ請求すればよい」というだけではありません。
実務では、
・いつ転籍したのか
・どこからどこへ転籍したのか
・転籍前の戸籍に誰が記載されているのか
・転籍後の戸籍とつながっているのか
を確認していきます。
なぜなら、相続手続きでは、亡くなった方の身分関係が途中で途切れず確認できることが重要だからです。
ご家族としては、「同じ人の戸籍なのだから、転籍先だけ分かればよいのでは」と感じるかもしれません。
しかし実務では、転籍前後の戸籍をつなげて確認しなければ、出生から死亡までの戸籍がそろっているか判断できないことがあります。
相続の現場では、戸籍を集めている途中で、
「もう少しでそろいそうなのに、あと一通必要です」
という場面があります。
転籍が多い方の場合、この「あと一通」が何度も出てくることがあります。
最後の戸籍を取る。
そこから転籍前の戸籍を取る。
さらにその戸籍を読むと、また別の転籍前本籍地が出てくる。
このように、戸籍を一通取るたびに、次の請求先が判明することがあります。
つまり、転籍が多い相続では、最初からすべての請求先を把握できるとは限りません。
取得した戸籍を読んで、次にどこへ請求するかを判断する。
この繰り返しになるのです。
転籍が多い方の相続では、本籍地が変わるたびに戸籍の請求先も変わることがあります。
そのため、死亡時の本籍地だけを確認しても、必要な戸籍がすべてそろうとは限りません。
転籍前後の戸籍を一つずつ確認し、出生から死亡までの流れをつなげることが大切です。
次回の中編では、転籍が多い相続で実際につまずきやすい場面について整理します。
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・転籍が多い方の戸籍収集、請求先整理
・出生から死亡までの戸籍の確認、収集
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・戸籍のつながりや不足書類の確認
・遺産分割協議書作成支援
・必要に応じた司法書士、税理士、弁護士等との連携