相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を確認することが必要になります。
戸籍を集めること自体も大変ですが、実務ではもう一つ大きな壁があります。
それは、古い戸籍を読み取ることです。
今回は前編として、なぜ古い戸籍の読み取りで相続手続きが止まることがあるのか、その基本的な構図を整理します。
現在の戸籍は、比較的読みやすい形式で作成されています。
しかし、相続手続きで必要になる戸籍は、現在の戸籍だけではありません。
改製原戸籍や除籍謄本など、昔の形式で作られた戸籍を確認しなければならないことがあります。
古い戸籍には、
・手書きで記載されている
・旧字体が使われている
・文字が薄い、かすれている
・記載の場所が分かりにくい
・現在とは違う言い回しが使われている
といった特徴があります。
そのため、戸籍を取得できたとしても、内容を正しく読み取れなければ、相続人の確認が進まないことがあります。
ご家族が見ても「何が書いてあるのか分からない」と感じることは珍しくありません。専門家であっても、古い戸籍は一つずつ前後関係を確認しながら慎重に読み取る必要があります。
古い戸籍で難しいのは、単に文字が読みにくいことだけではありません。
その記載が、相続関係にどのような意味を持つのかを確認する必要があります。
例えば、
・誰が戸主だったのか
・誰がどの戸籍から入ったのか
・婚姻により除籍されたのか
・養子縁組があったのか
・転籍や分家があったのか
こうした記載を読み落とすと、次に取得すべき戸籍を見落とす可能性があります。
ご家族としては、「戸籍は全部取ったはず」と感じるかもしれません。
しかし実務では、取得した戸籍を読んだ結果、さらに前の戸籍や別の市町村の戸籍が必要になることがあります。
つまり、戸籍収集は「取る作業」と「読む作業」がセットなのです。
相続手続きでは、相続人を正確に確認することが前提になります。
古い戸籍の中に、婚姻、離婚、養子縁組、認知などの記載がある場合、それが相続関係の確認に影響することがあります。
一つの記載を読み落としただけで、
「本当に相続人はこれで全員なのか」
「この方の戸籍も確認する必要があるのではないか」
という問題が残ることがあります。
その状態では、金融機関の手続きや不動産の名義変更に進みにくくなる場合もあります。
古い戸籍の読み取りは、相続手続きの土台を確認する作業なのです。
古い戸籍は、取得するだけでは足りません。
手書きの文字、旧字体、昔の戸籍制度特有の記載を読み取り、その意味を確認する必要があります。
戸籍が手元にあることと、相続人を確認できる状態になっていることは別問題です。
次回の中編では、古い戸籍の読み取りで実際につまずきやすい場面について整理します。
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・改製原戸籍、除籍謄本など古い戸籍の確認
・出生から死亡までの戸籍の確認、収集
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・戸籍のつながりや不足書類の確認
・遺産分割協議書作成支援
・必要に応じた司法書士、税理士、弁護士等との連携