相続手続きを始めようとして、最初につまずくことがあります。
「亡くなった父の本籍地が分かりません」
戸籍を請求するには本籍地の確認が必要です。しかし、ご家族でも本籍地を正確に覚えているとは限りません。
実際、住所は分かっていても、本籍地までは知らないというご家族は珍しくありません。「家族なのに知らないのはおかしいのでは」と心配される方もいますが、まずは分かる情報から整理すれば大丈夫です。
今回は前編として、本籍地が分からない場合、どこから確認するのかを整理します。
住所と本籍地は同じとは限らないということです。
小樽市に長く住んでいたから、本籍も小樽市にある。そう思って戸籍を請求しても、「該当する戸籍がありません」となることがあります。
本籍地は住んでいる場所とは別に定められるため、以前住んでいた市町村や先祖代々の土地に置かれたままの場合もあります。
また、死亡届を提出した自治体が、そのまま本籍地とは限りません。
ご家族としては「ずっとこの町で暮らしていたのだから、本籍もここだろう」と考えやすいのですが、住所、死亡届の提出先、本籍地はそれぞれ別に確認する必要があります。
家族の記憶だけで請求先を決めると、遠回りになることがあるのです。
本籍地が分からない場合、実務では亡くなった方の住民票の除票など、本籍の記載を確認できる書類が手掛かりになることがあります。
「戸籍が取れないから何も始められない」と考える必要はありません。
分かっている住所、氏名、生年月日などを整理し、本籍地につながる資料を確認します。
このとき、「最後に住んでいた住所はどこか」「過去に引っ越しをしているか」「以前の相続手続きで戸籍を取ったことがあるか」といった情報も、確認の入口になることがあります。
古い戸籍や過去の相続資料から、手掛かりが見つかることもあります。
例えば、以前取得した戸籍の写し、法定相続情報一覧図、過去の遺産分割協議書などが手元に残っていれば、本籍地を確認する手掛かりになる場合があります。
実務では、いきなり役所へ請求する前に、「家の中に確認できる資料がないか」を整理することも大切です。
相続相談では、
「昔は札幌に住んでいたので、たぶん札幌です」
というお話を伺うことがあります。
記憶が正しい場合もあります。
しかし、「たぶん」を前提に請求を重ねるより、確認できる資料から本籍地を特定した方が確実です。
相続手続きでは、最初の一歩を急ぐことより、最初の一歩を間違えないことが大切な場面があります。
亡くなった方の本籍地が分からなくても、相続手続きが止まるわけではありません。
まずは住民票関係の書類や手元の資料から、本籍地につながる手掛かりを確認する。
そこから戸籍収集の入口を見つけていくことが大切です。
次回の中編では、「家族の記憶と実際の本籍地が違う場面」について整理します。
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・本籍地確認に向けた資料整理
・出生から死亡までの戸籍の確認、収集
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・遺産分割協議書作成支援
・必要に応じた司法書士、税理士、弁護士等との連携