前編では、相続の戸籍収集は闇雲に役所へ請求するのではなく、最後の戸籍から一つ前、そのまた一つ前へと順番に遡っていくことが大切だとお伝えしました。
中編では、実際の戸籍収集でよく起こる「途中で戸籍がつながらないように見える場面」について整理します。
戸籍を取得して内容を確認したものの、
「この人はどこからこの戸籍に入ってきたのだろう」
「一つ前の本籍地が分からない」
と戸惑うことがあります。
特に古い戸籍では、現在の戸籍と書き方が異なり、手書きで記載されているものも少なくありません。
転籍、婚姻、分家、養子縁組などの記載が複数あると、どの情報を手掛かりに次の戸籍を請求すればよいのか分かりにくくなることがあります。
実務では、単に名前と生年月日だけを見るのではなく、「いつ」「どの理由で」「どこの戸籍から入ったのか」を確認していきます。
一つの記載を見落とすだけで、次に請求すべき自治体を誤ってしまうこともあります。古い戸籍ほど、細かな記載を丁寧に追う必要があります。
戸籍収集では、一つの戸籍を飛ばしてしまうと、出生から死亡までの流れが急につながらなく見えることがあります。
例えば、現在戸籍の前に改製原戸籍があり、さらにその前に除籍された戸籍が存在している場合です。
途中の戸籍を取得していなければ、
「なぜ突然この本籍地に移ったのか」
「この間の身分関係はどうなっていたのか」
という疑問が残ります。
ご家族としては「同じ人の戸籍なのだから大丈夫」と感じるかもしれません。
しかし、相続人を確定するためには、その人の身分関係が途中で途切れず確認できることが重要です。
例えば、その空白の期間に婚姻や離婚、養子縁組などがあれば、相続関係の確認にも影響する可能性があります。
だからこそ、「おそらく同じ人だから大丈夫」ではなく、戸籍上の記録を一つずつつないで確認していく必要があります。
ここ、実務ではかなり大事なところです。
戸籍を請求する際、私は必要に応じて「出生まで遡れるものをお願いします」「この方について保存されている戸籍を確認してください」といった形で請求内容を整理します。
なぜなら、ご本人が戸籍の種類や年代を全て把握することは難しいからです。
ただし、役所から届いた戸籍についても、そのまま「これで全部」と考えるのではなく、実際の記載を確認する必要があります。
戸籍の編製日、転籍日、婚姻日などを見ながら、その前後に空白がないか確認していきます。
戸籍収集は、取得する作業と確認する作業がセットなのです。
戸籍が途中でつながらないように見える場合、実際には一つ前の戸籍を取り漏らしていることがあります。
戸籍は、ただ枚数を集めればよいわけではありません。
一通ずつ記載を確認し、時間の流れが途切れていないかを確認することが重要です。
次回の後編では、戸籍収集を遠回りさせないために、実務ではどのように整理しながら進めているのかをお伝えします。
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・出生から死亡までの戸籍の確認、収集
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・戸籍のつながりや不足書類の確認
・遺産分割協議書作成支援
・必要に応じた司法書士、税理士、弁護士等との連携