前編では、相続手続きは「大体そろった」では進まず、最後の1通まで整って初めて動く場面が多いこと、そしてその1通ほど軽く見られやすいことを整理しました。
では、実際にはどのような「あと1通」で手続きが止まりやすいのでしょうか。
中編では、現場で多い典型例を整理します。
最も多いのは、被相続人の出生から死亡までの戸籍が一見そろっているようで、途中の除籍や改製原戸籍が1通抜けているケースです。
相続人の感覚では
「もう十分集めた」
と思っていても、提出先から見ると
「この期間のつながりが確認できない」
となれば、そこで止まります。
戸籍は枚数よりも、連続して読めるかが重要です。
そのため、最後の1通が戸籍の空白を埋める役割を持っていることがあります。
次によくあるのが、戸籍はそろっているのに、住所のつながりを確認するための附票や住民票が足りないケースです。
特に不動産の相続登記では、被相続人の登記上の住所と死亡時の住所がつながらないと、追加資料を求められることがあります。
相続人側としては
「戸籍があるのだから足りるはず」
と感じやすいのですが、戸籍と住所確認資料は別物です。
実務で非常に多いのが、相続人全員のうち一人分だけ印鑑証明書がそろわないケースです。
他の書類が全部整っていても、遺産分割協議書に対応する印鑑証明書が1通欠けていれば、金融機関も法務局も進めにくくなります。
しかも、その1通は
「あとで取れるだろう」
と後回しにされやすく、最後まで残りやすいのです。
さらに意外と多いのが、一般的な相続書類はそろっているのに、提出先ごとに求められる追加資料が1通不足しているケースです。
ある金融機関では不要でも、別の金融機関や法務局では必要ということがあります。
このため、
「一式そろえたはず」
と思っていても、提出先が変わると止まることがあります。
・戸籍のつながりを埋める1通が足りずに止まることがある
・戸籍とは別に附票や住民票が必要になる場面がある
・印鑑証明書1通の不足でも全体が止まりやすい
・提出先ごとの追加書類が最後に不足しやすい
相続手続きで最後に残る1通は、単なる枚数の問題ではなく、戸籍の連続性、住所のつながり、本人確認、提出先ごとの要件を埋める重要な役割を持っていることがあります。
次回の後編では、こうした「あと1通」の停滞を防ぐために、実務でどのように整理して進めるべきかを見ていきます。
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・不足書類の洗い出しと取得段取りの整理支援
・遺産分割協議書作成支援
・必要に応じた司法書士、税理士等との連携