前編では、法定相続情報一覧図は相続関係を示す資料として非常に便利である一方、それだけで遺産分割や名義変更、預貯金解約まで完結するわけではないことを整理しました。
中編では、銀行では遺産分割や本人確認資料で止まりやすく、不動産では登記原因の整理が必要であり、提出先ごとに一覧図の使い方や追加資料の要求が異なることを見てきました。
では、法定相続情報一覧図を作った後、手続きを止めにくくするには、どのような順序で整理していけばよいのでしょうか。
後編では、実務上の進め方を整理します。
法定相続情報一覧図は、作成した時点で一区切りついたように感じやすい資料です。
ですが、実務で本当に大切なのは、一覧図を作った後に、それをどの手続でどう使うかを見通しておくことです。
たとえば、銀行の払戻し、不動産の相続登記、証券口座の名義変更など、相続財産ごとに必要な追加資料は異なります。
そのため、一覧図を作成した段階で、
「次にどの手続を進めるのか」
「そのために何が別途必要なのか」
を整理しておくことが重要です。
実務で手続きが止まりにくいのは、一覧図を全てに共通する土台資料として使いながら、財産ごとに必要書類を切り分けて準備しているケースです。
たとえば、預貯金の解約であれば遺産分割協議書や印鑑証明書、本人確認資料が問題になります。
不動産の相続登記であれば、不動産の表示、住所のつながり、場合によっては住民票や附票の確認が必要になります。
つまり、一覧図を一つ作れば終わりではなく、
「共通資料」
と
「個別資料」
を分けて考えることが、手続き全体を止めにくくするポイントです。
法定相続情報一覧図は便利な資料ですが、それがあることで他の書類の作り込みが甘くなると、かえって止まりやすくなります。
遺産分割協議書の記載が曖昧、本人確認資料の期限や整合が弱い、提出先ごとの差異を見落としている、といったことがあると、一覧図があっても実務は進みません。
だからこそ、一覧図を「これで終わり」と捉えるのではなく、相続手続全体を整えるための土台として使う視点が必要です。
・法定相続情報一覧図は、作成後にどう使うかまで考えることが重要
・相続財産ごとに共通資料と個別資料を切り分けるべきである
・一覧図があっても、他の書類を丁寧に整えなければ手続きは止まり得る
・一覧図はゴールではなく、相続手続全体の土台として捉えるべきである
法定相続情報一覧図は、相続手続の入口を整えるうえで非常に有効な資料です。
ですが、本当に手続きを進める力になるのは、それを土台にして各提出先ごとに必要な書類と段取りを整理できている場合です。
一覧図を作ることをゴールにせず、その先の実務をどう組み立てるかまで見据えることが、相続手続きを止めにくくする大切な視点になります。
・戸籍収集、法定相続情報一覧図作成の初動支援
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・遺産分割協議書作成支援
・金融機関や各提出先を見据えた書類整理支援
・必要に応じた司法書士、税理士等との連携