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    相続では、遺産分割協議がまとまった段階で、ひとまず安心してしまう方が少なくありません。

    特に不動産については、相続人同士で
    「この家は長男が取る」
    「土地は妻が相続する」
    と話がまとまると、それで終わったように感じやすくなります。

    しかし実務では、この“まとまっただけ”の状態が、数年後に思わぬ火種になることがあります。
    その典型が、遺産分割後に相続登記をしないまま放置してしまうケースです。

    今回は前編として、遺産分割は終わっているのに登記を怠ったことで、なぜ後から問題が再燃しやすいのか、その基本的な構図を整理します。


    ■協議が終わっても登記をしなければ外からは見えない

    遺産分割協議で不動産の取得者が決まっても、登記をしなければ、その内容は登記簿には反映されません。

    つまり、家族の中では
    「もうこの不動産は誰のものか決まっている」
    という認識でも、外部から見ると、依然として被相続人名義のままだったり、相続登記未了の状態だったりします。

    当事者の中では終わっていても、権利関係としては未整理のまま残っている。
    ここに、後のトラブルの火種があります。


    ■時間が経つほど事情を知る人が減っていく

    登記をしないまま数年が経つと、当時の事情を知っている相続人が亡くなったり、記憶が曖昧になったりします。

    すると、後になって
    「本当にそういう分け方だったのか」
    「協議書は残っているのか」
    「他の相続人は納得していたのか」
    という話が出やすくなります。

    当時は円満に終わったつもりでも、時間の経過で証拠も記憶も薄れ、再び説明を求められるのです。


    ■今は「後でやる」が通用しにくい

    さらに現在は、相続登記が義務化されている点も見落とせません。

    令和6年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に相続登記の申請が必要とされており、遺産分割が後でまとまった場合にも、その成立日から3年以内の申請義務があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となる可能性もあります。

    つまり、登記放置は単なる先延ばしでは済みにくく、今は法的にも放置しにくい時代になっています。


    ■売却や二次相続の場面で一気に問題化する

    登記放置が特に表面化しやすいのは、その不動産を売却したいときや、次の相続が発生したときです。

    たとえば、遺産分割で長男が取得するはずだった不動産が被相続人名義のまま残っていると、長男が亡くなった後には、長男側の相続人まで関係者に入ってきて、話が一気に複雑になります。

    最初に登記をしていれば簡単に済んだはずのことが、放置したことで関係者が増え、手続も感情も重くなってしまうのです。


    ■前編まとめ

    ・遺産分割協議が終わっても、登記をしなければ権利関係は外から見えない
    ・登記放置により、後から当時の事情を説明し直す必要が生じやすい
    ・時間が経つほど証拠や記憶が薄れ、問題が再燃しやすい
    ・相続登記義務化により「後でまとめて」は通用しにくくなっている

    遺産分割後に登記を怠ると、その場では静かでも、後になって大きな負担として戻ってくることがあります。

    次回の中編では、実際にどのような場面で登記放置の問題が表面化しやすいのか、実務上の注意点を整理します。


    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・戸籍収集など相続手続きの初動支援
    ・相続人調査、相続関係説明図の作成
    ・遺産分割協議書作成支援
    ・相続登記を見据えた不動産相続の整理支援
    ・必要に応じた司法書士、税理士等との連携


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