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    前編では、長年疎遠だった弟であっても、法律上の相続人である以上、原則として法定相続分を主張できること、そして、介護や生活支援を担ってきた側の感情と、法律上の結論がぶつかりやすいことを見てきました。

    では、このような場面で、実際にどのような事情が法的に考慮されるのでしょうか。

    中編では、「不公平だ」という感情が、どこまで法的な議論につながり得るのかを整理します。


    ■介護していたことが直ちに相続分を変えるわけではない

    まず大切なのは、親の介護や身の回りの世話をしていたという事実だけで、当然に相続分が増えるわけではないという点です。

    たしかに、長年介護を担っていた相続人からすると、疎遠だった弟と同じ相続分というのは納得しにくいものです。

    しかし、法律は単純に「大変だった人が多く取る」という仕組みにはなっていません。

    そのため、介護をしていたことは重要な事情ではあっても、それだけで直ちに法定相続分が修正されるわけではない、という点をまず押さえておく必要があります。


    ■問題になるのは「寄与」として評価できるかどうか

    もっとも、何も考慮されないわけではありません。

    相続の場面では、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人について、「寄与分」が問題になることがあります。

    たとえば、被相続人の事業を無償で長く手伝っていた、療養看護によって本来かかるはずの費用の支出を抑えていた、生活面で継続的に支えて財産の減少を防いでいた、といった事情です。

    つまり、単なる親族としての通常の手助けを超えて、財産面で具体的な貢献があったといえるかどうかが、法的には重要になります。


    ■感情的な不満と法的な主張は一致しないことがある

    ここが難しいところですが、介護や支援の苦労が大きかったとしても、すべてがそのまま寄与分として認められるわけではありません。

    同居して日常的に世話をしていたとしても、それが親族間の通常の扶養や協力の範囲と見られることがあります。

    逆に、外からは見えにくくても、長期間にわたり経済的・実務的な支援をしていたことが、具体的な寄与として評価される場合もあります。

    そのため、
    「これだけ苦労したのだから当然に多くもらえるはずだ」
    という感情と、
    「法的にどこまで主張できるか」
    は、必ずしも一致しません。


    ■中編まとめ

    ・介護していた事実だけで直ちに相続分が増えるわけではない
    ・ただし、財産の維持や増加への特別な貢献は寄与分として問題になり得る
    ・感情的な不満と法的に主張できる内容は一致しないことがある
    ・介護や支援の内容を具体的に整理することが重要

    疎遠だった弟への不満が強い相続では、「納得できない」という感情だけで話を進めると、かえって整理が難しくなります。

    次回の後編では、こうした相続で感情的対立を深めないために、どのように話し合いを進めるべきか、実務上の注意点を整理します。


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