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    「財産は山だけです」

    Bさんは、そう言ってため息をつきました。

    亡くなった父が残したのは、地方の山林数筆。

    預金はほとんどなく、自宅も賃貸。

    相続人は兄弟3人です。

    一見、争いにならなそうに見えます。
    しかし、実際は逆でした。


    ■山林は“資産”ではない?

    都市部の不動産と違い、山林は買い手がつきにくいのが現実です。

    ・固定資産税は毎年かかる
    ・管理を怠れば近隣トラブル
    ・境界が不明確
    ・売却先が見つからない

    「資産」どころか、維持費だけがかかる存在になることもあります。

    近年では、こうした不動産を“負動産”と呼ぶこともあります。


    ■「いらない」が一致する相続

    Bさん兄弟は口をそろえて言いました。

    「正直、いらない」

    しかし問題はここです。

    相続は、欲しい人がいないからといって自動的に消えるものではありません。

    法定相続分に従い、共有状態になります。


    ■共有のリスク

    山林を3人で共有すると、

    ・売却には全員の同意が必要
    ・管理責任も共有
    ・将来さらに相続人が増える

    といった問題が生じます。

    共有は一見平等ですが、実務では最も揉めやすい形態です。

    誰も積極的に関与しないまま、時間だけが過ぎていくこともあります。


    ■相続放棄すればいい?

    ここでよく出るのが「放棄すればいいのでは?」という発想です。

    確かに相続放棄という制度はあります。

    しかし、

    ・他に資産があれば全体を放棄
    ・管理義務が直ちに消えるわけではない

    など、
    単純ではありません。

    放棄後も、次順位の相続人へ負担が移る可能性があります。


    ■前編まとめ

    ・山林は“負動産”になることがある
    ・欲しい人がいなくても相続は発生
    ・共有は将来のリスク
    ・相続放棄も万能ではない

    山林相続は、「どう分けるか」ではなく「どう処理するか」が問題になります。

    次回の中編では、山林相続で具体的に生じる法的・実務的課題を解説します。


    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・山林の相続人確定
    ・共有リスクの整理
    ・相続放棄の検討支援
    ・遺産分割協議書作成
    ・他士業と連携した処分検討


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