「内容は合っているはずなのに、登記が通らない」
相続の現場で、実は非常に多いのが遺産分割協議書の書き方ミスです。
相続人全員が納得し、署名・押印も済んでいる。
それでも、法務局や金融機関から“差し戻し”になることがあります。
Aさんは、父の相続で自宅を取得することになりました。
兄弟間で話し合いも済み、市販のひな形を使って遺産分割協議書を作成。
ところが、法務局から連絡が入ります。
「不動産の表示が登記簿と一致していません」
やり直しです。
不動産を記載する際は、
・所在
・地番
・家屋番号
・地目
・地積
などを、登記事項証明書どおりに正確に記載する必要があります。
「自宅一棟」
「〇〇町の土地」
といった曖昧な表現では、登記は受け付けてもらえません。
預貯金についても、
・銀行名
・支店名
・口座種別
・口座番号
を特定する必要があります。
特に注意が必要なのは、相続開始後に解約済みの口座です。
「すでに払い戻しているから書かなくていい」
と考えるのは危険です。
原則として、相続開始時点で存在した財産は協議の対象になります。
意外と多いのが、相続人の氏名・住所の誤記です。
戸籍どおりの氏名でなければ、印鑑証明書と一致せず、
金融機関で差し戻されることがあります。
旧字体や、戸籍上の正式表記を確認することが重要です。
押印は原則として実印が必要です。
・認印で押してしまった
・印鑑証明書を添付していない
・有効期限を過ぎている
こうしたミスも、やり直しの原因になります。
・遺産分割協議書は形式が極めて重要
・不動産の表示は登記簿どおりに
・預金も正確な特定が必要
・相続人の氏名は戸籍どおり
・実印と印鑑証明書を確認
「話し合いがまとまった=終わり」ではありません。
形式の不備ひとつで、登記や払戻しは止まります。
次回の中編では、内容面で揉めやすいポイントや、
曖昧な表現が将来の争いを生むケースを解説します。
・遺産分割協議書の作成支援
・不動産表示の確認
・相続財産の整理
・金融機関提出書類のチェック
・専門家と連携した相続手続対応