相続といえば、不動産や預貯金を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし近年、相続の現場で存在感を増しているのが、デジタル遺産です。
・動画配信チャンネル
・収益化されたブログ
・電子書籍の著作権
・SNSアカウント
・オンラインショップ
これらも、立派な「財産」になり得ます。
亡くなったAさんは、副業で動画配信を行っていました。
登録者数は数万人。
広告収益も毎月発生していました。
家族はその存在を知っていましたが、収益の仕組みやログイン情報までは把握していません。
相続が始まり、通帳に定期的な振込があることから、はじめて本格的に調査を開始しました。
ところが――
・ログインできない
・パスワードが分からない
・収益の管理画面に入れない
「お金があるはずなのに、触れない」
これが、デジタル遺産の最初の壁です。
動画や文章、写真などの著作物には、著作権が発生します。
著作権は財産権ですので、原則として相続の対象になります。
つまり、
・動画の広告収益
・書籍の印税
・画像利用料
なども、相続財産に含まれます。
「データだから相続できない」ということはありません。
一方で問題になるのが、アカウントそのものの扱いです。
多くのプラットフォームでは、利用規約により
「アカウントは本人のみ使用可能」
とされています。
そのため、
・相続人が自由に使えるのか
・名義変更が可能か
・凍結されるのか
は、サービスごとに異なります。
ここに、法と規約のズレが生じます。
さらに厄介なのは、その価値をどう評価するかです。
・将来も収益が続くのか
・一時的なブームではないか
・ブランド価値はあるのか
不動産のような明確な価格がなく、評価が難しいのがデジタル資産の特徴です。
・デジタル遺産は相続財産になり得る
・著作権は原則として相続できる
・アカウントの扱いは規約次第
・ログイン情報が分からないと管理できない
・価値評価が難しい
次回の中編では、デジタル遺産がある場合の具体的な手続き、
収益化アカウントの管理をどう引き継ぐのかを、実務目線で解説します。
・デジタル遺産の洗い出しと整理
・著作権の相続関係の確認
・相続財産評価の整理
・遺産分割協議書作成支援
・専門家と連携した相続対応