前編では、内縁の配偶者がいる相続が、
強い感情的対立を生みやすい構図を整理しました。
中編では、内縁の配偶者には法定相続権がないこと、
特別寄与料など主張できる可能性がある点を、法的に整理しました。
後編では、実務でどのように折り合いをつけているのか、
揉めずに相続を終えるための現実的な対応策を解説します。
Aさんの相続では、内縁の配偶者Bさんと、
法定相続人である子どもたちの主張は、
しばらく平行線をたどりました。
そこで話し合いの軸を、「権利があるか・ないか」から、
「どうすれば全員が納得できるか」へと切り替えました。
まず整理したのは、次の点です。
・Bさんが担ってきた介護や生活支援の内容
・同居期間や生活実態
・今後の生活基盤をどう確保するか
これにより、感情的な主張だけでなく、
事実に基づいた話し合いが可能になりました。
実務で多いのが、金銭的な配慮という形で折り合う方法です。
具体的には、
・特別寄与料として一定額を支払う
・遺産分割協議の中で調整金を設ける
・住居の使用を一定期間認める
といった形が検討されます。
「相続人ではないからゼロ」
「家族だったからすべて」
という極端な結論ではなく、中間的な解決策を探ることが、
紛争を防ぐ現実的な道になります。
内縁の配偶者側も、次の点を理解しておく必要があります。
・法律婚と同じ扱いは受けられない
・主張が認められるかはケース次第
・感情だけでは解決しない
「分かってもらえない」と感じたときほど、
冷静に事実を整理し、専門家を交えて進めることが重要です。
一方、法定相続人側が注意すべきなのは、
排除しようとする姿勢です。
内縁の配偶者を最初から話し合いの外に置くと、
・対立が長期化する
・法的紛争に発展する
・感情的な溝が修復不能になる
といったリスクが高まります。
「権利がない」という事実と、
「どう対応するか」は別問題です。
内縁関係の相続で、最大のトラブル回避策は生前対策です。
・遺言書で財産分与の意思を明示する
・生前贈与を活用する
・住居や生活費の手当てを整える
これらをしておくだけで、相続人同士が正面衝突する可能性は、
大きく下がります。
「そのとき考えればいい」という判断が、最も大きな混乱を招くこともあります。
・対立軸を「権利」から「納得」へ切り替える
・金銭的配慮など中間的解決策を探る
・内縁配偶者・相続人双方に理解が必要
・排除姿勢は紛争を長期化させる
・生前対策が最大の予防策
内縁の配偶者がいる相続は、法律と感情のズレが、最も顕著に表れる分野です。
だからこそ、正しさを押し付けるのではなく、
現実的な落としどころを探る姿勢が、家族関係と生活を守る鍵になります。
・内縁関係がある相続案件の全体整理
・特別寄与料・調整金の検討支援
・法定相続人との話し合い支援
・遺言書・生前対策の助言
・専門家と連携した相続サポート