前編では、墓じまいや改葬の話題が、
相続以上に感情的な対立を生みやすい理由を整理しました。
中編では、墓じまい・改葬は法的にどう扱われるのか、
実務では何を整理しなければならないのかを解説します。
まず混同されやすいのが、「墓じまい」と「改葬」の違いです。
一般に、墓じまいとは
今あるお墓を撤去し、管理を終えることを指します。
一方、改葬とは
遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すことです。
実務では、墓じまい=改葬を伴うケースがほとんどであり、
単なる撤去作業では終わりません。
改葬を行うには、感情や家族の合意だけでは足りません。
具体的には、次のような手続が必要になります。
・現在のお墓がある市区町村からの改葬許可
・新しい納骨先の受入証明
・埋葬証明書の取得
これらを揃えなければ、遺骨を移すことはできません。
「話し合いがまとまったから動かす」
というわけにはいかない点が、実務上の重要ポイントです。
墓じまい・改葬で最も混乱しやすいのが、
誰が決定権を持つのかという点です。
法律上、お墓の管理や改葬については、
必ずしも「相続人全員の一致」が明確に定められているわけではありません。
しかし実務では、
・親族間の合意
・管理者(祭祀承継者)の存在
が極めて重要になります。
一人の判断で進めた場合、後から
「聞いていない」
「同意していない」
という対立が生じやすくなります。
墓じまいを巡る対立では、費用の問題が感情をさらに刺激します。
・墓石の撤去費用
・改葬先の永代供養料
・閉眼供養や開眼供養の費用
これらは、数十万円から百万円を超えることもあり、
誰が負担するのかで話が止まるケースも少なくありません。
「管理できない人ほど反対する」
「費用を出す人ほど主導したくなる」
といった構図が生まれやすい点も、注意が必要です。
実務では、相続手続と墓じまいを
別物として進めないことが重要です。
・誰が管理を引き継ぐのか
・将来の承継者はいるのか
・費用をどう分担するのか
これらを相続の整理と一体で考えないと、
相続後に「結局、誰も面倒を見ない」
という事態になりがちです。
・墓じまいと改葬は手続が伴う
・改葬には行政手続が必要
・決定権と合意形成が重要
・費用問題が対立を深めやすい
・相続と切り離して考えない
次回の後編では、墓じまい・改葬で揉めないための落としどころ、
生前にできる現実的な対策を解説します。
・墓じまい・改葬の全体整理
・祭祀承継者や費用負担の整理
・改葬許可申請等の実務サポート
・相続と墓の問題を一体で整理
・感情対立を踏まえた話し合い支援