前編では、遺品や形見分けが、
なぜ相続トラブルの火種になりやすいのかを整理しました。
中編では、遺品や形見分けは法的にどう扱われるのか、
勝手に処分した場合、何が問題になるのかを、実務目線で解説します。
まず押さえておきたいのが、遺品の法的な位置づけです。
遺品の多くは、預貯金や不動産と同様に、
被相続人が所有していた財産に該当します。
・衣類
・写真やアルバム
・手紙や日記
・装身具や思い出の品
金銭的価値が高いかどうかは関係なく、所有権が被相続人にあった以上、
相続財産に含まれる可能性があります。
「価値がないから捨ててもいい」
という判断は、法的には危うい考え方です。
相続が始まると、遺産分割が終わるまでの間、
相続財産は相続人全員の共有状態になります。
これは遺品についても同じです。
つまり、一人の相続人が独断で処分したり、
特定の人に渡したりすることは、
他の相続人の権利を侵害する可能性があります。
たとえ善意であっても、「勝手に処分した」という事実だけで、
深い不信感が生まれます。
遺品を勝手に処分した場合、
実務では次のような問題が生じます。
・他の相続人から返還や説明を求められる
・遺産分割協議が進まなくなる
・処分した行為自体が争点になる
特に、形見分けを楽しみにしていた相続人にとっては、
「奪われた」という感情が残りやすく、話し合いが感情論に傾きがちです。
実務でよく聞かれるのが、
「悪気はなかった」
「早く片付けたほうがいいと思った」
という言い分です。
しかし、相続の場面では、
悪意の有無よりも行為の結果が重視されます。
結果として、他の相続人の選択肢を奪ってしまえば、
トラブルの原因になります。
注意が必要なのが、一見すると遺品に見えるものの、
実は高額な財産価値を持つケースです。
・古い着物
・骨董品
・指輪や時計
・美術品
これらを「古い物」「使わない物」として処分してしまうと、
後から金銭トラブルに発展することもあります。
・遺品の多くは相続財産になり得る
・相続開始後は相続人全員の共有状態
・勝手な処分は権利侵害につながる
・善意でもトラブルになる
次回の後編では、遺品整理や形見分けをどう進めれば揉めないのか、
実務的な進め方と落としどころを解説します。
・遺品と相続財産の整理・仕分け
・勝手な処分があった場合の状況整理
・形見分けを巡る合意形成支援
・感情対立を踏まえた実務的助言
・相続トラブルを防ぐための事前整理