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    相続の相談で、意外なほど多いのが、次のような一言から始まるトラブルです。

    「気づいたら、遺品が全部処分されていました」
    「形見分けの話をする前に、もう何も残っていないんです」

    遺品整理や形見分けは、一見すると些細な問題に見えます。
    しかし実務では、相続全体を壊しかねない火種になることも少なくありません。

    今回は、なぜ「遺品」がここまで大きな争いになるのか、
    その入口部分を整理します。

    ■Aさん家族のケース

    亡くなったのは母・Aさん。
    相続人は次の3人でした。

    ・長男
    ・長女
    ・次女

    母は生前、
    「私が亡くなったら、好きな物を形見にしてね」
    と話していたものの、具体的な指示は残していませんでした。

    葬儀が終わって数日後、実家の片付けを始めたのは長男でした。

    「古い物ばかりだし、早く片付けたほうがいい」
    そう考え、衣類や家具、小物類を業者に依頼して処分しました。

    ところが後日、長女と次女が実家を訪れたとき、
    こう言います。

    「お母さんの着物は?」
    「アルバムや手紙はどこ?」

    その瞬間から、家族の空気は一変しました。

    ■「遺品=財産じゃない」という誤解

    遺品トラブルの多くは、
    「遺品は財産じゃない」
    という誤解から始まります。

    確かに、経済的な価値が小さい物も多く、
    預貯金や不動産ほど注目されません。

    しかし、遺品の多くは、
    法律上は相続財産に含まれる可能性があります。

    価値の有無ではなく、
    「被相続人が所有していた物かどうか」
    が判断基準になるからです。

    ■勝手な処分が問題になる理由

    相続開始後、
    相続財産は、
    原則として相続人全員の共有状態になります。

    つまり、
    一人の判断で
    処分・廃棄することは、
    他の相続人の権利を侵害する可能性があります。

    たとえ悪意がなくても、
    「勝手に捨てた」
    という事実だけで、強い不信感を生むのです。

    ■「形見分け」は感情の問題

    形見分けは、法律よりも感情が前に出やすい場面です。

    ・金銭的価値はなくても手放したくない
    ・自分だけが大切にしていた思い出がある
    ・相談もなく処分されたことが許せない

    こうした感情が重なり、相続全体の話し合いまで
    進まなくなるケースもあります。

    ■前編まとめ

    ・遺品の勝手な処分は相続トラブルの火種
    ・遺品も相続財産になり得る
    ・一人の判断が不信感を生む
    ・形見分けは感情面の配慮が不可欠

    次回の中編では、遺品や形見分けは法的にどう扱われるのか
    勝手に処分した場合の問題点を、もう一段踏み込んで解説します。

    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・遺品整理と相続財産の整理
    ・形見分けを巡る認識整理
    ・相続人間の合意形成サポート
    ・感情対立を踏まえた実務的助言
    ・相続トラブルを防ぐための事前整理


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