相続の相談で、たまにこう聞かれます。
「お腹の子って、相続人になるんですか?」
まだ生まれていないのに相続人。
直感的には、少し不思議に感じるかもしれません。
しかし、実務では決して珍しくない重要な論点です。
今回は、よくあるケースをもとに整理します。
亡くなったのは父・Aさん。
相続開始時の家族状況は、次のとおりでした。
・妻のBさん
・長男(5歳)
・Bさんは妊娠中(出産予定は数か月後)
遺産は、
・自宅不動産
・預貯金
という一般的な内容です。
Bさんはこう考えました。
「お腹の子はまだ生まれていないし、
とりあえず今いる家族で分けてもいいのでは?」
ここに、大きな誤解があります。
民法では、
胎児は相続については、すでに生まれたものとみなす
と定められています。
つまり、無事に出生すれば、
お腹の子も正式な相続人になります。
このため、
・胎児を無視して遺産分割をする
・出生前に分割を確定させる
こうした対応は、原則としてできません。
理由はシンプルです。
出生後に、
「自分の相続分が侵害されている」
と主張されると、遺産分割そのものがやり直しになる可能性があるからです。
実務では、
・登記が止まる
・預金の解約ができない
・手続きが数か月〜年単位で延びる
といった影響が出ることもあります。
ここでよくある疑問が、
「じゃあ、生まれるまで何もできないの?」
という点です。
実際には、一部の手続きは進められるものの、
最終的な遺産分割は原則として待つ必要があります。
どこまで進めてよいか、どこから止めるべきかの判断が、
実務では非常に重要になります。
次回の中編では、
胎児がいる場合に進められる手続きと、止めるべき手続き、
出生後にどのように相続分を確定させるのかを、
具体的に解説します。
・胎児が相続人になる場合の全体整理
・遺産分割を待つべきかの実務判断
・出生前後の手続きスケジュール整理
・未成年相続を含めた総合的な相続設計
・弁護士・司法書士と連携した相続対応