相続の相談で、意外と多いのが「相続人に未成年の子がいるケース」です。
「母親が親権者なんだから、まとめて決められるのでは?」
そう思われがちですが、実務ではそう簡単には進みません。
今回は、よくある事例をもとに整理します。
亡くなったのは父・Aさん。
相続人は次の3人でした。
・妻のBさん
・長男(20歳・大学生)
・次女(15歳・未成年)
遺産は、
・自宅不動産
・預貯金
と、ごく一般的な内容です。
Bさんはこう考えました。
「私が親権者だし、未成年の娘の分も含めて話をまとめよう」
ところが、ここに大きな落とし穴があります。
未成年者は、法律上、
遺産分割協議を単独で行うことができません。
そのため、原則として法定代理人(多くは親権者)が代わりに手続きを行います。
ここまでは、Bさんの理解どおりです。
しかし問題は、その法定代理人が、同時に相続人でもある場合です。
今回のケースでは、母のBさん自身も相続人です。
つまり、
・Bさん自身の取り分
・未成年の娘の取り分
この2つを、同じ人が決める立場になります。
このような状態を、法律上「利益相反」といいます。
たとえ悪意がなくても、「母親が自分に有利な分け方をした」と
後から疑われる余地があるため、原則としてそのまま遺産分割を進めることはできません。
このような場合、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要になります。
特別代理人とは、未成年の子の立場だけを守るために、一時的に選ばれる代理人です。
・遺産分割の内容が妥当か
・未成年者に不利になっていないか
を第三者の立場でチェックします。
この手続きを経て、はじめて遺産分割協議が成立します。
次回の中編では、
特別代理人は誰がなるのか
どのくらい時間や費用がかかるのか
を、さらに具体的に解説します。
・未成年相続人がいる場合の手続全体の整理
・利益相反に該当するかの事前判断
・特別代理人選任申立ての準備サポート
・遺産分割協議書作成に向けた実務整理
・弁護士・司法書士と連携した相続対応