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    「相続人の一人と、もう何年も連絡が取れていません」
    相続相談の現場で、決して珍しくない状況です。

    LINEは既読にならず、電話もつながらない。
    住所も古いままで、今どこに住んでいるのか分からない。
    ――こうした場合、多くの方がこう考えます。

    「連絡が取れないなら、その人抜きで進めてもいいですよね?」

    結論から言うと、それはできません。
    “連絡が取れない”という状態は、相続手続きにおいて非常に重い意味を持ちます。


    ■ケース:疎遠になった弟が相続人に

    被相続人は父。
    相続人は長男Aさん、長女Bさん、次男Cさんの3人兄弟です。

    次男Cさんは、10年以上前に家を出て以降、音信不通。
    AさんとBさんは父の介護や葬儀を担い、相続手続きを進めようとしました。

    Aさんは言います。
    「弟とは連絡も取れないし、正直もう関わりたくありません。
    兄妹2人で話をまとめて、弟の分はそのままにしておけば…」

    この考え方が、相続を長期停滞させる原因になります。


    ■なぜ“連絡が取れない”だけで相続が止まるのか

    相続手続きの大前提は、
    相続人全員が手続きに関与していることです。

    具体的には、

    • 遺産分割協議
    • 相続登記
    • 預金解約

    いずれも、相続人全員の同意や関与が必要です。

    「意思表示がない」
    「連絡がつかない」
    という状態は、
    同意していないのと同じ と扱われます。

    たとえ相続人本人に悪意がなくても、
    法的には“欠けている相続人がいる状態”となり、
    手続きを進めることはできません。


    ■よくある誤解:「法定相続分どおりなら問題ない?」

    ここでも多い誤解があります。

    「揉めていないし、法定相続分どおりに分けるだけだから、
    行方不明でも問題ないのでは?」

    これも答えは NO です。

    遺産分割は、内容以前に
    “全員参加”が必須です。

    金融機関や法務局は、
    「本当に全相続人が把握され、関与しているか」を厳しく確認します。


    ■行方不明=死亡ではない

    もう一つ重要な点があります。

    「何年も連絡が取れない=もういないのでは?」
    と考えてしまいがちですが、
    行方不明と死亡は、法律上まったく別です。

    生存している限り、
    その人の相続権は消えません。

    勝手に除外して進めた手続きは、
    後から無効になるリスクすらあります。


    ■前編まとめ

    ・相続人の一人と連絡が取れないだけで、相続手続きは止まる
    ・「連絡不能」は「同意なし」と同じ扱い
    ・法定相続分どおりでも、全員関与が原則
    ・行方不明=死亡ではなく、相続権は消えない

    次回(中編)では、
    「本当に行方が分からない場合、どう動くのか」
    調査の方法や、法的に用意された手段を解説します。


    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    • 相続人調査・戸籍収集による関係整理
    • 行方不明相続人への連絡・調査の整理
    • 相続手続きが止まるリスクの事前診断
    • 状況に応じた法的手段の選択整理
    • 司法書士・弁護士との連携による対応支援

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