前編では「なぜ遺産分割がまとまらないのか」、
中編では「調停がどのような流れで進むのか」を整理しました。
後編では、調停が不成立だった場合の次のステップと、調停を有利に進める実務ポイントをまとめます。
調停は多くのケースで合意形成に至りますが、次のような場合には成立しません。
不成立=失敗、ではありません。
調停によって争点が整理され、「何が問題か」が明確になっているため、
その後の手続きがスムーズになる効果は大きいのです。
調停がまとまらない場合、家庭裁判所が職権で判断する「審判」に移行します。
審判は、双方の主張・証拠・財産状況を踏まえ、裁判官が分割方法を決定するものです。
審判の特徴は次の通りです。
「話し合いが無理なら、裁判所に決めてもらう」というスタンスで、
最終的な解決に向かいます。
調停に臨む際、次の3点を押さえておくと結果が大きく変わります。
感情論は調停委員にも伝わりづらく、議論が散らかります。
・どこまで合意済みか
・何が争点なのか
・争点が生まれた背景
を文書で整理しておくと、調停が格段に進みやすくなります。
審判に移行した場合でも、資料不足は不利に働きます。
不動産評価、預金残高、保険資料などは早めに準備しておくことが大切です。
調停は100点満点を狙う場ではなく、
「現実的に合意できる80点」を探す場です。
完璧を求めすぎると、協議も調停も成立が難しくなります。
次のような場合は、調停より弁護士対応・訴訟の検討が必要です。
調停は万能ではないため、ケースに応じて専門家の判断が必要です。
・調停の不成立=解決不能ではない
・不成立時は審判に移行し、裁判官が法的に分割方法を決める
・調停を有利に進めるには
①争点整理
②財産資料の準備
③現実的な落としどころの想定 が欠かせない
・調停に向かないケースでは、早めに専門家へ相談を
遺産分割は、家族関係が大きく揺れる場面です。
専門家・調停委員の力を適切に借りることで、膠着状態が解けることは珍しくありません。