前編・中編では、父Lさんの相続で長女Jさん・長男Kさんが相続放棄をしたのに、半年後に消費者金融から督促状が届いたケースを見てきました。中編では、受理通知書の確認、債権者への書面通知で請求を止める流れまで整理しました。
後編のテーマは、「次順位の相続人にどう伝えるか」と「期限はいつから数えるのか」です。
子が全員相続放棄をすると、相続権は次順位(父母→兄弟姉妹など)へ移ります。
では、その方々はいつまでに相続放棄をすればよいのでしょうか。
相続放棄の期限(熟慮期間)は原則3か月ですが、“相続開始を知った日”から数えるのがポイントです。
次順位の相続人にとっては、被相続人の死亡日ではなく、「自分が相続人になったこと(先順位が放棄したこと)と、その事実を知った時」が起算点になることが多く、ここを誤解すると手遅れになります。
債権者側は、戸籍を追って相続人を調べ、順番に請求してくることがあります。
Jさん・Kさんが放棄した事実を債権者が把握すると、次は叔父叔母に通知が行く可能性が高い。
つまり「言いにくいから黙っておく」は、後から大きな衝撃を与え、家族関係をこじらせがちです。
Jさんが迷ったのは、「放棄して」と言うのが負担になることでした。
そこで専門家は、次のような“温度感”を推奨しました。
併せて、債権者名・請求内容の概要、受理通知書の写しなど、「相手が判断できる材料」を最小限でまとめると、感情の摩擦が減ります。
最後に再確認です。相続放棄前後に、故人の預金を使う、財産を売る、借金を一部払う等をすると、「単純承認」と見なされるリスクがあります。
督促が届いたときほど、焦って動かず、行動の前に一度整理しましょう。
・次順位相続人にも熟慮期間(原則3か月)があるが、起算点の誤解が多い
・連絡をしないと、突然督促が届きトラブルになりやすい
・伝え方は「強制」ではなく「情報共有+判断材料」
・放棄前後の行動(払う・使う・処分する)は要注意