前編では、父Lさんの相続で長女Jさん・長男Kさんが相続放棄をしたにもかかわらず、半年後に消費者金融から督促状が届いたところまでお話しました。
「放棄したのに請求が来るなんて、無効になった?」と不安になりますが、結論から言うと、相続放棄が家庭裁判所で受理されている限り、原則として支払義務はありません。ただし、放置すると話がこじれるため、順番に対応することが重要です。
Jさんから相談を受けて最初に確認したのは次の2点です。
①家庭裁判所での相続放棄が受理されているか
②「相続放棄申述受理通知書(または受理証明書)」が手元にあるか
ここが揃っていれば、督促が来ても慌てる必要はありません。
焦って電話すると、言った言わないになりやすく、不安が増えがちです。
そこで今回は、債権者へ書面で通知する方針にしました。
通知文で伝える要点はシンプルです。
・相続放棄が受理され、法的に相続人ではない
・支払義務は負わない
・受理通知書の写しを同封する
・今後の連絡は書面で求める
この対応で、Jさん・Kさん宛ての請求は止まりました。
子が全員相続放棄をすると、相続権(=債務の引受け対象)は次順位へ移ります。
このケースでは、Lさんの兄弟姉妹などが対象になり得ます。
そこでJさんは悩みました。
「叔父叔母に借金の話を伝えるべきか…伝えないと突然督促が行くのでは…」
ここで大切なのは、責める口調ではなく、判断材料を“必要最小限”で共有すること。
(例:債務が判明したこと/督促が来たこと/放棄という選択肢があること)
相手にとって必要なのは感情よりも「判断できる情報」です。
相続放棄の前後で、故人の預金を使う・財産を処分する等をすると、例外的に「単純承認」と扱われ、トラブル化することがあります。
督促が来たときは、放棄の有無だけでなく「これまで何をしたか」も一度整理しましょう。
・まずは相続放棄の受理と書類の有無を確認
・督促には電話で揉めず、書面で淡々と通知
・子が全員放棄なら、次順位へ請求が移る可能性
・放棄前後の行為によっては争いの火種になる
次回(後編)では、次順位相続人の期限の考え方と、家族関係を壊さない伝え方を解説します。