前編で紹介したとおり、長男の妻Mさんは20年以上にわたり義母Xさんの介護・家事・通院の全てを担ってきました。
しかし遺産分割協議が始まると、次男Bさん・三男Cさんは「相続は兄弟3人で平等に」と主張し、Mさんの貢献は話題にすら上がりません。
Mさんはたまらず声を上げます。
「あなたたちは年に数回しか帰ってこなかった。
毎日世話をしてきたのは私です。」
しかし兄弟はこう返します。
「でも相続は“法律”。嫁には権利はないよ。」
介護した“気持ち”と、
相続人の“法的権利”がすれ違い、議論は一気に感情的に。
協議の空気は一時険悪になりました。
ここで専門家が状況を整理します。
寄与分は相続人だけが主張できる制度。
Mさん個人は法的には対象外です。
しかし——。
裁判例の中には、
「嫁の介護によって長男の生活負担が軽減し、結果として遺産維持に寄与した」
と判断された例があります。
つまり、
嫁のがんばりは、完全に無視されるわけではない。
けれど評価されるには“証拠と説明”が必要
というのが実務です。
間接的寄与分を認めてもらうには、次のような裏付けが求められます。
これらがあると、
「Mさんの行動は長男Aさんの寄与分として評価すべき」という主張が可能になります。
専門家の説明を受け、
Bさん・Cさんの表情にも変化が生まれました。
Bさん:
「確かに、母の生活はMさんの支えがなければ成り立たなかった。」
Cさん:
「どこまで反映されるかは別として、感謝は伝えたい。」
感情の対立が、少しずつ“理解”に変わっていく瞬間でした。
次回(第8話③・後編)では、
最終的な着地点と、
“嫁の貢献をめぐる争族”を防ぐために何が必要かを解説します。
・嫁・長男・兄弟間の貢献状況の整理と法的評価
・間接的寄与分を主張するための資料整理・説明書作成
・介護記録・支出証拠の“証拠化サポート”
・遺産分割協議書・説明資料の作成
・寄与分・特別寄与料の制度活用助言
・遺言・任意後見・家族信託などの生前対策支援
・司法書士・税理士・弁護士と連携したワンストップ対応