相続の相談で最も多い勘違いの一つが、
「長男の嫁は家族として尽くしたのだから、相続で評価されるはず」
という思い込みです。
しかし法律上、長男の妻Mさんは“相続人ではない”。
どれだけ献身的に介護しても、遺産分割の場では権利がありません。
この事実が、深い不満や争いの火種になります。
今回の主人公Mさんは、義母Xさんと20年以上同居し、
家事・通院同行・介護のほぼすべてを担ってきました。
長男Aさんは仕事で不在がち。
次男Bさん、三男Cさんは遠方でほぼ関わらず、
“実質的な介護者”はMさんでした。
四十九日後に行われた遺産分割協議。
Bさんがさらりと言い放ちました。
「遺産は兄弟3人で平等に分けよう。
Mさんは相続とは関係ないよね?」
Mさんは言葉を失います。
「誰より世話したのは私なのに…」
しかし法律の建前では、Bさんの言い分が正しいのです。
努力と法的評価が一致しないことが、
Mさんの強い不満につながりました。
Mさん:
「あなたたちは何もしてこなかった。私がいなければ生活できなかった」
Bさん・Cさん:
「同居してたんだから当然だろう」
「介護は長男夫婦の役目だよ」
“嫁の現場での貢献”と
“兄弟の法律上の権利”が衝突し、協議は一気に不穏な空気に。
ここで誤解しがちなのは、
「嫁の貢献は完全に無視される」わけではない という点です。
実務では次のように整理されます。
法的には、相続人に限られる制度。
裁判例でも、
嫁の献身が長男の生活・財産維持に寄与した場合、
長男の寄与分の一部として考慮されるケース があります。
つまり、
評価される可能性はゼロではないが、極めて限定的
というのが現実です。
次回(第8話②・中編)では、
Mさんの貢献がどこまで評価されたのか、
兄弟間の対立がどう深まるのか、
寄与分の実務判断を詳しく解説します。
・嫁・長男・兄弟間の貢献の整理と法的評価の助言
・間接寄与分として主張する際の資料作成
・遺産分割協議書の作成
・介護記録や支出証拠の整理サポート
・遺言・家族信託など、生前の対策設計
・司法書士・税理士・弁護士との連携による一元支援。