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    ■“家族なのに相続とは無関係”という現実

    相続の相談で最も多い勘違いの一つが、
    「長男の嫁は家族として尽くしたのだから、相続で評価されるはず」
    という思い込みです。

    しかし法律上、長男の妻Mさんは“相続人ではない”。
    どれだけ献身的に介護しても、遺産分割の場では権利がありません。
    この事実が、深い不満や争いの火種になります。

    今回の主人公Mさんは、義母Xさんと20年以上同居し、
    家事・通院同行・介護のほぼすべてを担ってきました。
    長男Aさんは仕事で不在がち。
    次男Bさん、三男Cさんは遠方でほぼ関わらず、
    “実質的な介護者”はMさんでした。

    ■義母の死後、冷たい一言からトラブルが始まる

    四十九日後に行われた遺産分割協議。
    Bさんがさらりと言い放ちました。

    「遺産は兄弟3人で平等に分けよう。
     Mさんは相続とは関係ないよね?」

    Mさんは言葉を失います。
    「誰より世話したのは私なのに…」
    しかし法律の建前では、Bさんの言い分が正しいのです。

    ✔ 長男の嫁には相続権がない

    ✔ 寄与分(介護貢献)の主張も“原則できない”

    努力と法的評価が一致しないことが、
    Mさんの強い不満につながりました。

    ■感情と法のズレが深まる

    Mさん:
    「あなたたちは何もしてこなかった。私がいなければ生活できなかった」

    Bさん・Cさん:
    「同居してたんだから当然だろう」
    「介護は長男夫婦の役目だよ」

    “嫁の現場での貢献”と
    “兄弟の法律上の権利”が衝突し、協議は一気に不穏な空気に。

    ここで誤解しがちなのは、
    「嫁の貢献は完全に無視される」わけではない という点です。

    ■嫁の貢献は“ゼロ”なのか?

    実務では次のように整理されます。

    ① 長男の妻個人には寄与分は認められない

    法的には、相続人に限られる制度。

    ② しかし長男への“間接的な寄与”として評価される余地はある

    裁判例でも、
    嫁の献身が長男の生活・財産維持に寄与した場合、
    長男の寄与分の一部として考慮されるケース があります。

    つまり、
    評価される可能性はゼロではないが、極めて限定的
    というのが現実です。

    ■まとめ(前編のポイント)

    • 長男の妻には相続権がない
    • 寄与分も原則主張できない
    • しかし「長男を通じた間接評価」が行われることはある
    • 認識のズレが家族間の衝突を生みやすい

    次回(第8話②・中編)では、
    Mさんの貢献がどこまで評価されたのか、
    兄弟間の対立がどう深まるのか、
    寄与分の実務判断を詳しく解説します。

    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・嫁・長男・兄弟間の貢献の整理と法的評価の助言
    ・間接寄与分として主張する際の資料作成
    ・遺産分割協議書の作成
    ・介護記録や支出証拠の整理サポート
    ・遺言・家族信託など、生前の対策設計
    ・司法書士・税理士・弁護士との連携による一元支援。


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