Kさんは父Lさんの介護について、
10年にわたる通院同行、金銭管理、生活支援の記録を必死に集め、
「特別の寄与」として評価されることを願いました。
しかし調停委員から返ってきた言葉は冷静でした。
「介護の献身は素晴らしいですが、
法的には“通常の扶養義務の範囲内”と判断される可能性が高いです。」
つまり、
「がんばった」という事実と、
「法的評価」は必ずしも一致しない ということです。
寄与分として認められるには、
“財産の維持・増加”に対する明確な貢献を示す必要があります。
多くの介護者がここで壁にぶつかります。
審理が進むにつれ、兄弟の本音も見え始めます。
Nさん(兄):
「確かに任せきりだった。でも多く渡すのは納得できない。」
Oさん(弟):
「Kの負担は感謝している。でも、証拠がなければ寄与分にはならないと思う。」
Kさんは複雑な思いを抱えました。
「私がいなければ成立しなかった生活なのに…」
しかし同時に、
兄弟もそれぞれの立場で悩んでいたことを知ります。
ここに、相続で最も多い“感情のねじれ”があります。
どちらも嘘ではなく、
どちらも正しさを持っているのです。
結論として、調停では次のように決まりました。
つまり、
「法律上の寄与分ではなく、話し合いによる事実上の調整」
が最終的な着地点となりました。
Kさんはこう振り返ります。
「法的に寄与分とは認められなくても、
兄弟が私の介護を認めてくれたことが救いでした。」
家族にとって大切なのは、
“寄与分の金額”よりも、“気持ちの折り合い”なのかもしれません。
今回のケースは、
“相続が始まってから寄与分を主張するのは難しい”
という現実をはっきり示しています。
再発防止のために重要なのは次の4つです。
「がんばり」を“証拠”と“仕組み”で守ることが、
争族を防ぐ最も確実な方法です。
・寄与分・特別寄与料に関する資料整理・主張サポート
・介護記録・支出証拠の整理と説明書作成
・遺産分割協議書・調停資料の作成
・遺言・任意後見・家族信託など生前対策の設計
・司法書士・税理士・弁護士との連携によるワンストップ対応