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    ■はじめに

    「一番親身になって介護してきたのに、相続では報われなかった」
    これは、相続相談の中でもとりわけ多い不満です。

    親の介護や生活支援を長年続けてきた子どもにとって、
    相続の場面で「他の兄弟と同じ扱い」になることは、精神的に大きな衝撃となります。
    しかし、“寄与分が認められる条件”は、想像以上に厳しいのが現実です。

    今回は、そんな「報われない介護」の典型ケースを3回に分けて紹介します。

    ■登場人物と背景

    主人公は、長女Kさん(50代)。
    父Lさん、母Mさんを看取り、現在は会社員として働きながら実家を守っています。

    兄Nさん(長男)は東京で独立し、家族と暮らしており、
    次男Oさんは結婚を機に地方へ移住。
    実家の近くに住み続けたKさんが、結果として両親の介護を一手に引き受けることになりました。

    Kさんは、仕事後に毎日実家へ通い、

    • 介護認定の申請
    • 通院の付き添い
    • 食事の準備
    • 金銭管理
    • 入退院の手続き
      など、生活のほぼ全てをサポートしていました。

    兄弟の協力はほとんどなく、
    家族や周囲の人たちも「Kさんがいなければ生活できなかった」と認めるほどでした。

    ■相続開始と“衝撃の現実”

    父Lさんが亡くなり、相続の話し合いが始まると、Kさんは当然こう考えていました。

    「これだけ介護してきたのだから、他の兄弟より多く相続するのが自然だ」

    しかし、遺産分割協議の席で兄たちはこう言います。
    「介護は気持ちの問題だろ?相続は公平に分けよう。」

    さらに税理士からは、
    「寄与分の主張はできますが、認められるかは別問題です」
    と冷静に告げられました。

    Kさんは強いショックを受けました。

    ■そもそも“寄与分”とは何か

    寄与分とは、相続人の中で特に被相続人(亡くなった人)の財産形成や維持に特別な貢献をした人が、その分だけ余分に相続できる制度です。

    しかし、ポイントは “特別の寄与” であること。

    単なる親孝行や一般的な介護では、法的には「寄与」と認められないことが多いのです。

    ■介護=寄与分とならない理由

    寄与分が認められにくい最大の理由は、
    介護が“無償の家事労働”として扱われやすい 点にあります。

    裁判所や実務では、

    • 親と同居している
    • 日常的な介助や通院を行っている
    • 支出を一部負担している
      という程度では「一般的な扶養義務の範囲内」と判断されることが多く、
      “特別の寄与”とまでは評価されにくいのです。

    そのため、Kさんのようなケースでも、
    兄弟と「同じ法定相続分」での分配が原則となってしまいます。


    ■まとめ

    今回のポイントは以下のとおりです。

    • 親の介護がどれだけ大変でも、寄与分として認められるとは限らない
    • 寄与分には“特別の寄与”が必要で、ハードルは非常に高い
    • 家族の気持ちと、法律の仕組みが大きくズレやすいテーマ

    次回(第7話②・中編)では、
    Kさんが実際に寄与分を主張した結果、
    どのような議論が起こり、どんな証拠が必要だったのかを詳しく解説します。


    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・寄与分の主張に必要な証拠整理、説明資料の作成
    ・介護記録・通院記録・金銭支出などの情報整理
    ・遺産分割協議書の作成支援
    ・相続トラブルの予防としての生前対策アドバイス
    ・司法書士・税理士・弁護士との連携支援


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