Eさんの死後、遺産分割協議の場で長男Cさんと長女Dさんが対立しました。
Cさんは「父が生前に土地をくれると言った。だから家を建てた」と主張。
一方のDさんは「登記は父のまま。兄が勝手に使っただけ」と反論します。
親族会議は平行線のまま、ついにDさんが家庭裁判所に遺産分割調停を申立てました。
「父の意思を守りたい」Cさんと、「公平に分けたい」Dさん。
それぞれが“正義”を抱えたまま、感情のすれ違いが深まっていきました。
調停では、主に3点が論点となりました。
① 贈与の合意が本当にあったか
書面も登記もなく、Eさんの言葉を裏づける証拠がない。
② 土地使用の法的性質
Cさんは父の黙認で住んでいたにすぎず、「贈与」ではなく「使用借権」と見るのが妥当との指摘。
③ 特別受益に当たるか
仮に贈与が成立していたとしても、兄が得をした分を相続時に調整すべきかが問題となりました。
裁判所は「贈与成立を示す証拠が不足」と判断し、最終的に土地を売却し、代金を法定相続分で分ける方向で合意しました。
父の思い出の土地は手放すことになりましたが、兄妹はようやく和解の糸口を見つけました。
このケースが示すのは、「思い出」では贈与を証明できないという現実です。
生前贈与を確実にするには、
・生前贈与契約書・合意書の作成支援
・司法書士・税理士との連携による登記・税務対応
・特別受益や公平性を整理した説明資料の作成
・家族間トラブルを防ぐための事前対策サポート
「贈与のつもり」が「争族」にならないように——。
家族の思いを法的に守る仕組みを、今こそ整えましょう。
次回(第5話③・後編)では、CさんとDさんがどのように“和解”へと進み、
父の思いをどう形にしたのかをお伝えします。