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    ■はじめに

    「元気なうちに財産を子どもに渡しておきたい」——
    そんな善意から始まる生前贈与。ところが、その“思いやり”がきっかけで、
    かえって家族の関係が壊れてしまうことがあります。
    「あげたつもり」「もらってない」という認識のズレ。
    口約束のままでは、贈与が成立したとは限りません。

    今回は、“気持ちで贈ったつもり”が“争いの火種”になったケースを見ていきます。

    ■登場人物と背景

    主人公は、長男Cさん、長女Dさん、そして父Eさん。
    Eさんは会社を早期退職し、退職金でマイホームを建て、教育費も惜しみなく負担してきました。
    老後は年金と貯蓄で穏やかに暮らしていましたが、70歳を過ぎた頃、
    体調を崩したのを機に「家族のためにできることをしておきたい」と考えるようになります。

    ある日、Eさんは長男Cさんに言いました。
    「お前には一番頼りにしてきたから、この土地を生前に渡しておくよ。」
    しかし書類も登記もなく、ただの口頭での約束。
    その後Cさんは、その土地に自宅を建てて暮らし始めました。

    ■相続開始後に訪れた“言った・言わない”問題

    数年後、Eさんが亡くなり、相続が始まります。
    遺産分割協議の場で長女Dさんが言いました。
    「兄が住んでいる土地はお父さんの名義のまま。勝手に使っているのはおかしい。」
    一方でCさんは反論します。
    「父さんが生前に“譲る”と言った。だからこれは贈与だ。」

    しかし登記名義はEさんのまま。
    贈与契約書もなく、税務申告もしていませんでした。
    法的には贈与の成立を裏付ける証拠がない状態です。
    結果としてその土地は遺産の一部とみなされ、
    兄妹の関係は急速に冷え込んでいきました。

    ■生前贈与が“争族”になる典型パターン

    このように、

    • 書面がない
    • 登記を変更していない
    • 贈与税の申告をしていない
      という場合、「本当に贈与が成立したのか」が争点になります。

    民法上、贈与は「贈与者の意思表示と受贈者の承諾」で成立しますが、
    証拠がなければ立証が困難です。
    さらに、生前贈与が“特別受益”として扱われることもあり、
    「兄ばかり得をした」という感情を招きやすいのです。

    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・生前贈与契約書、金銭贈与契約書、不動産贈与契約書の作成支援
    ・贈与登記・税務申告に関する司法書士・税理士との連携サポート
    ・特別受益の有無や相続分への影響に関する事前整理
    ・贈与ではなく「遺言」「死因贈与」など最適な選択肢の提案
    ・家族間の誤解を防ぐための説明資料・同意書の作成

    「贈与」は“あげたつもり”ではなく、“証拠を残すこと”で初めて守られます。
    思いやりを「法的な形」に変えておくことが、家族を守る最大の備えです。


    次回(第5話②・中編)では、実際にCさんとDさんの対立がどのように深まり、
    どんな法的判断が下されたのかを解説します。


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