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    ■すれ違う姉妹、それぞれの「正しさ」

    母の遺産を分ける話し合いで、姉のAさんは静かに切り出しました。
    「お母さんの介護、ずっと私がやってきたんだから、少し多めにもらってもいいでしょ?」
    一方、妹のBさんはすぐに反論します。
    「それはお姉ちゃんの気持ちでやったことでしょ。お金のことは“平等”にしようよ。」

    お互いの言葉は冷静でしたが、そこには長年積もった思いがにじんでいました。
    Aさんは“貢献を認めてほしい”という気持ち、Bさんは“差をつけられたくない”という思い。
    どちらも間違ってはいません。むしろ、どちらも“正しさ”を持っているのです。

    ■“平等”と“公平”は似て非なるもの

    ここで整理しておきたいのが、「平等」と「公平」の違いです。

    “平等”とは、すべての人を同じ基準で扱うこと
    相続で言えば、「法定相続分に従って、機械的に財産を分ける」という考え方です。

    一方、“公平”とは、それぞれの事情や貢献を考慮して、納得できる形に整えること
    介護や扶養、学費の負担など、家族の背景を反映させてバランスを取る考え方です。

    つまり、平等はルール上の正しさ、公平は気持ちの正しさ
    相続の場では、この二つをどう折り合わせるかが、最も難しいポイントになります。

    ■「ありがとう」と「ごめんね」が生まれた瞬間

    AさんとBさんは、専門家を交えて何度も話し合いを重ねました。
    最終的に、財産は法定相続分に沿って分けつつ、Aさんの介護への貢献を「寄与分」として考慮する形に。
    金額の差はわずかでしたが、Bさんが「お姉ちゃん、ありがとう」と口にしたとき、Aさんの目に涙が浮かびました。
    「こちらこそ、ごめんね。」
    その言葉が、長年のわだかまりを溶かした瞬間でした。

    “平等”と“公平”のどちらが正しいかではなく、
    「互いが納得し、次の世代へと心をつなげること」こそが、相続の本当の目的なのだと思います。

    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    当事務所では、法的な「平等」の原則を踏まえつつ、家族それぞれの事情を尊重した「公平」な遺産分割をサポートしています。
    介護・扶養・学費負担などの実情を丁寧に整理し、感情面も含めた“納得のかたち”を一緒に見つけていきます。
    法律と心、その両方を大切にする相続支援を心がけています。


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