被相続人が貸主である賃貸中のアパート・マンション・駐車場は、相続開始と同時に貸主の地位(契約上の権利義務)を相続人が承継します。
まずは①登記事項証明書、②賃貸借契約書・入居者名簿、③敷金・保証金台帳、④家賃入金口座、⑤管理委託契約(ある場合)をそろえ、相続人代表者と今後の連絡先を決めましょう。
貸主が変わった事実(相続)と家賃の振込先、連絡窓口を書面で通知します。管理会社を利用している場合は、委託契約の名義変更と請求先の変更を同時に。保証会社利用中は、債権者変更届が必要なことがあります。
通知書には、相続人代表者の氏名・住所・連絡先、振込口座、適宜「相続人からの委任状(写)」や登記事項証明書の写しを添付するとスムーズです。
死亡日までの未収家賃は被相続人の収入として遺産に含まれる債権、死亡日の翌日以降の家賃は相続人の持分に応じて帰属します(共有の賃料)。
したがって、準確定申告(被相続人の1/1~死亡日分)と、以後の家賃収入の各相続人の確定申告という二本立てになります。税金計算は税理士の専門分野のため、税理士と連携して進めます。
敷金・保証金はそのまま相続人に承継され、退去時の原状回復精算や返還義務も相続人が引き継ぎます。
精算基準は契約書・国交省ガイドライン・自治体要綱等に従うのが原則。原状回復費用の請求や立会いは管理行為に当たるため、相続人間で代表者と方針を決め、見積・領収書を整備しておきましょう。
賃貸中のまま売却する「オーナーチェンジ」は貸主の地位と敷金返還義務の承継を売買契約で明示し、入居者へ承継通知を行います(通常、承継自体に入居者の同意は不要)。
この場合、相続登記→売買登記の順で行います。不動産の相続登記・所有権移転登記は司法書士の業務ですのため、司法書士と連携して進めます。
相続人調査、承継通知書・委任状・管理委託名義変更書の作成、敷金台帳・未収金一覧の整備、遺産分割協議書への反映をサポートします。登記は司法書士、税務は税理士と連携して、入居者対応を止めずに手続きを前へ進めることができます。ぜひお気軽にご相談ください。